2022年7月26日 (火)

Visiting a Garden : HAKONE GARDENS 箱根

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Hedge by the entarance                              JULY.23.2022

 デンマーク出身のフラワーアーティスト ニコライ・バーグマン氏が数年にわたって庭園にしていったという箱根 強羅にある NICORAI BERGAMANN HAKONE GARDENS に行ってきました。ポーラ美術館のある道沿いにあります。

関東の平地では、6月の梅雨明け宣言と同時に酷暑になったので、もう少し楽しみたかった道端のアジサイが一気に生気を失ってしまうような感じでしたが、ここに来てリベンジさせてもらったような感じ。

青、紫、水色の西洋アジサイの色がとても深く澄んだ色をしていて、きれい。火山由来の土地柄だからか、肥料を施したのかわからないけれど、鳥のさえずりを聞きながら標高670m見るアジサイはとてもきれいでした。インスタグラムに動画を上げています。どうぞ

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Hydrangea macrophylla

移動中、車の中でホームページを読んでいると、『南青山のニコライ バーグマン フラワー スクールで使用した苗をここに植えていった。』ということが書いてありました。

私自身、園芸をしていてだめにしてしまった植物もたくさんあるけれど、年に一度咲く花のために育て方を調べては、手入れすることが何よりも楽しい。そんなこともあって、アジサイが安住の地に植えられたことに安堵の気持ちを持ちことさら美しく感じました。

セイヨウアジサイはシーボルトがオランダに持ち帰って改良したもので、元は日本が自生地。

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入口を入るとカフェがありました。いまの時期はノリウツギの鉢植えがいたる所に置かれ、うっそうとした森の中にアイボリーの花姿がシンボリックに輝いていました。カフェでは軽食をテイクアウトできるように準備していて、それを持って森の中に行けるそうです。

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Shades of Acer palmatum at Market place

緩やかな斜面を登っていくと、所々にいろいろなスペースがありました。ここでは、イロハモミジがとても大きく真っ直ぐに育っていることに驚きました。樹齢どのくらいなのだろう。

このあたりの地形は、火山麓地形。箱根の火山の噴出物や土砂によってできた緩やかな台地状の斜面。近くには、大涌沢があり、早川に流れ込んでいく水脈があることもモミジが大きく育った理由でしょう。

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白いキャノピーの下でお茶もいいな。テーブルは、この森に生えていた木を伐採した時の材でニコライさんのデザインで作ったものだそうです。樹下はすべて腐葉がたっぷり敷き詰められており、人を入れることによって、樹下の地肌を傷めないよう配慮しています。

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Shop pavilion

園内に入ると、こんなガラス張りの温室が数か所ありました。ここは、多肉植物がテラコッタ・ポットに植え替えられ、気持ちよそうに並べられていました。

ここで過ごすのもいいし、誰かにに育てられてもいいし・・・。なんて見ていました。

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傾斜のある所は、デッキ材で階段が造られていました。山道とはちょっと違います。

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大型コンテナーには、トピアリー仕立てになった樹木もシンボリックに置いてありました。大きな鉢を高所までよく持ち上げたなと思いました。帰ってからニコライさんのこの庭に関する植栽の考え方に『新たな植物は地植えせずに』というルールを設けていると知りました。

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Café Pavilion

さながらグラスハウスの東屋。桂離宮に行った時、歩いては、すぐにお茶室や東屋があったことを思い出しました。

 

人間の一生よりも長い時間経過して作られてきた自然を敬う。

 

そんなことを箱根ガーデンズから帰ってから考えています。

 

 

 

 

 

 

 

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2022年7月 3日 (日)

Visiting a garden : 八窓庵 札幌

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Hasso-an in Sapporo      designed by Ensyu Kobori

 札幌、中島公園の敷地内に日本庭園がありました。そして、案内板には、「小堀遠州(1579~1647)の茶室」と書いてあり見てきました 。Img_3288

池を囲む森の中に溶け込むように茶室がありました。2棟ありましたが、小堀遠州の茶室「八窓庵」は、右側。左側は札幌に移築された後に増築された部分。

小堀遠州が居城の滋賀県の長浜の小堀城内に作ったものを移転させながら、大正8(1919)に個人によって札幌に移転。昭和4(1919)年に札幌市の所有になりました。国指定の重要文化財。

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蹲踞

ここに移築されてから、露地も遠州好みに整備されました。

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躙り口 Crawl-through

ここから、にじりながら入って行く場所。この上部の軒下に『忘筌(ぼうせん)』と書かれた扁額(看板)がかけられていました。この言葉は中国の荘子の言葉からきていて、遠州は、「茶道には様々な道具が必要だが、それに執着して本来の目的を忘れてはいけない。」という戒めとしてこの草案の名としたようです。

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平面図

この茶室は、2畳台目といって、2畳と3/4畳の点前座という空間。千利休の妙技庵 待庵(1582年年)は、2畳隅炉といって、点前座の部分はないので、さらに狭いことになります。

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外からのぞかせてもらうと中柱が見えました。枝が分かれた部分で片方を切り落とした赤松の幹です。

それから雲雀棚と呼ばれる釣り棚が見えました。

八窓庵の名前通り、開口部が多い造りです。突き当りの壁面に2窓。躙り口側の壁面も2窓。左の障子の部分は下地窓(土壁の芯になる竹組を見せたままにしてある)。覗いている窓は連子窓という窓で下部にさらにもう一つ下地窓があります。天井部分も突き上げ窓があるようで合計確かに8窓。「舞台効果を持たせている。」とパンフレットには書かれてあり、最初はイメージできませんでしたが、客側から点前座の亭主の姿を見ると、逆光の中にそのシルエットが浮かぶように見え、神々しく見えるのだろうと、想像するようになってきました。

本格的な茶室に座ってのお茶を頂いたことはありませんが、いつか、着物を着て日本庭園のお茶を修行の末、いただきたいかなと残りの人生を考えながら、無謀な夢を持ちだしました。

札幌ならではの苦労もあり、冬には、覆いをかぶせたり、上屋が雪で壊れ、八窓庵が全壊したこともあったようです。

400年の歳月を経て、こうして修復をしながら、現存させてきている茶室。これからも札幌の宝として維持していってほしいと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

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2022年6月24日 (金)

Visiting a garden : 銀河庭園 恵庭

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Boat race garden               June.19.2022

Iris sibirica

 昔、真冬に訪れた銀河庭園。その時は、雪が積もっていたので、お庭の手前あたりしか行けませんでした。今回、初夏のベストシーズン。滞在時間1時間でしたが、ぐるりといろいろなお庭を見ることが出来ました。北海道の恵庭市にあります。ちょうど、本州の4月下旬ぐらいの気温かな。

インスタグラムに上の写真のお庭の動画をあげています。音楽も付けたので聞きながら見てください。こちら⇒wendysdesignblog Boat race garden

この庭は、イギリスのガーデン・デザイナー Bunny Guinnes バニー・ギネス さんがチェルシ―・フラワー・ショウに2004年に作った庭です。『地面を60㎝掘った。』と彼女のサイトに書いてあったので、なるほど、と思ったのですが、少し高い位置から植物を見下ろすので、それぞれの植物や庭の構造が良く見渡せました。黄緑色のホスタの柔らかな葉が大きく広がる中、紫のシベリア・アイリスがすくっと立ち上がり、その補色対比がとても美しかったです。

オックスフォードとケンブリッジの伝統のボートのレースをイメージした庭なので、水場が川の流れのように作ってあり、豊富な水と水辺を感じさせる植物の組み合わせが涼感を感じさせ一番印象に残りました。

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Delphinium grandiflorum

同じ庭の突き当りは、ゴシック建築の教会の廃墟のような空間がありました。ステンドグラスの窓枠が木で作られており、これを見ただけでも西洋文化を感じましたが、手前の咲き始めの水色のデルフィニウムと相まってとても美しかった。

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Iris germanica

この庭を出る時に咲いていたフリル咲のサファイア色のジャーマンアイリス。ここが、沈床花壇であることが、写真で見ると確認できます。階段が確かにありました。

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Serpentine garden

まっすくなようで微妙にくねくねした白樺の道。

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Dragon garden

最後にたどり着いたのが、チェルシー・フラワー・ショウのGOLD MEDAL受賞の『薬草商人の庭(1998)』をこの場所に合わせて再設計したドラゴン・ガーデン。札幌軟石で作られた大きなドラゴンの頭があり、びっくり。映画『Never ending story』に出てくるファルコンを思い出しました。龍は、不思議な聖獣。シルクロードを通じて、西洋にも東の果ての日本にもその存在が伝えられたのでしょうね。

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Allium giganteum

アリウムの薄紫の球体がボンボンと見え、ここも今がベスト・シーズン。

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ドラゴンがとぐろを巻いているのが、この段々花壇。両脇に首が置かれている。カスケード(滝)になっていますが、案外その流れは、細い。しかし、両脇に置かれた龍の頭部が大きいので、この段々花壇全体がとぐろを巻いている体に思え、巨大な龍のパワーを感じました。

石材もよく見ると、定型ではなく、その場所に合わせて彫ってあり、曲線を多く使ったデザイン。

石を自由に彫り出す技術は、石灰岩や大理石で多くの彫像や教会建築を作ってきた西洋の石の文化が根底にあっての現代の造園への応用と考えられました。

日本の中に西洋の庭園文化が、入ってきて100年以上経ちました。開拓した土地が生まれ、人々が新しいものを導入しようとする熱意が強いことや梅雨がない気候なので、ヨーロッパの植物が育ちやすい環境であったこと等から、今でも西洋の庭園文化の導入が進んでいるのではないかと思いました。

私の主人は札幌出身、実の祖父母も札幌で学生時代を送ったという縁があります。遠くてなかなか行けない場所ですが、”There is another country ”(もう一つの故郷がある。)と思いながら久しぶりに訪れた北海道に空から別れを告げながら、帰路につきました。

 

 

 

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2022年6月22日 (水)

Visiting a garden : 中島公園 札幌

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 結婚式があり、2年半ぶりに札幌に行ってきました。いつもは真っ白な世界の北海道ですが、季節は初夏で青々とした樹木がとても美しかったです。樹種も本州とは違うので、公園を散歩するだけでも十分に楽しめました。

ホテルから見える池が中島公園の菖蒲池。遠くに見えるのが藻岩山。右手が北。藻岩山から流れ出た川の流れが土砂を堆積させ、扇状地をつくてきたようです。大きな流れは豊平川という札幌市内を流れる川ですが、いくつも流れがあったようで、この池も鴨々川との間にあった中島。

昔は、上流で切り出した木材を川で運び、貯木場として使っていたようです。

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Betula platyphylla var.japonica

入口では、シラカンバがお出迎え。やっぱり樹皮の白い樹は、北海道に来たことを一番感じさせる樹。

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朝のお散歩。水面も緑。かもちゃん。

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柳がしな垂れ、モネの池を思い出す。

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池の中にも中島。水際が自然に植物が生育していて美しい。

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黄菖蒲が満開。

開拓時代には貯木場であった池も1907年(明治40)当時最高の造園技師であった長岡安平氏によって、公園としてデザインされました。それ以降、博覧会が何度かこの場所で開催されその度に整備、改造がされてきています。

遊園地や野球場、競馬場、バラ園、噴水などもあった時期もあったようです。

 

水場という憩の場所は周辺が開発されても残されてきており、樹木がひっそりと大きく育ってきた場所でした。

 

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2022年3月21日 (月)

Visiting a garden : 曹源池庭園 天龍寺 

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                                                  March.20.2018

久しく桜を見に行こうと思っても飛び出せない状況が続いています。そんな中、4年前の桜の時期に京都に行って桜を見た光景が最近、頭の中をよぎります。よかったな~。保津川下りをして、嵐山につき、天龍寺へ。

 

竹林を通り、敷地内に入ると少し斜面を下るような感じで池のところまでたどり着きました。その間、枝垂れ桜や石楠花など見事に開花した姿が一気に春が来たと感じさせてくれました。

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南側には嵐山。手前の山の端が亀山。断層によって、嵐山は隆起しており、間に保津川(桂川)がある。

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亀山は、天皇陵であり、その裾野を平らにして天龍寺の敷地がある。

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遠くて肉眼では、よく確認できなかったので、カメラには収めておいた写真。

池の中ほどの向こう側には、鯉が滝を登っていくように見えるという岩や釈迦三尊に見立てた立岩が据えてある。

広々とした池でよどみを感じさせない。水面にさざ波がおこるぐらい、自然に溶け込んでいる。

この庭以降の庭が意図的に様々な景観を凝縮したようなパーツありきの作庭となっていくが、この庭は、石組も昔からここにあったように感じさせる。

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天龍寺の開山が夢窓疎石が71歳の時。鎌倉の瑞泉寺の作庭が53歳というから、今までの作庭の集大成。

多くの地で修業し、悟りの境地に至るのに迷いに迷ったと思われる夢窓疎石。その中で、室町時代が始まる頃に足利氏、後醍醐天皇側にも信頼され、仲立ちをしていったという。

このお寺そのものがそういう目的で建てられたもの。

 

訪れる人を感動させる庭の秘密は、夢窓疎石がたどり着いた境地が根底にあるからだ。

 

 

 

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2021年12月 6日 (月)

Visiting a garden : 瑞泉寺 鎌倉

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 Zuisen-ji                Dec.2.2021   

 お休みの日、鎌倉の紅葉を見に行きました。今回は、瑞泉寺にまだ行ったことがなかったので、ここをメインにルートを決めて。

あちこち、寄り道しながらでしたが、たどり着いた時には、大きな杉のある寺までの階段の前で溜息。圧倒的な緑に囲まれて、山奥深くにきた感じがしました。この辺りは、まだモミジは紅葉しておらず、陽ざしに透けた柔らかなモミジの黄緑の葉陰がきれい。

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階段が二手に分かれていて、苔むした男坂と呼ばれる方を上りました。

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山門に入る前に立てられていた昭和47年製の絵図。分かりやすい。左下に『客山富士山』と書かれています。背後の山に登ると、富士山を望むことができるようです。この絵図を見ると、宮島の大聖院の背後を上って弥山の頂上に上がると、枯山水の庭園が模したような瀬戸内海に島々が浮かぶ景色を望むことができるという山登りと似ていると思いました。お寺は鎌倉時代末期(1327年)に夢窓疎石によって開山。疎石53才頃の作庭。様々な寺で修業しながら、自然に対する畏敬の念を持ちながら、作庭していった僧侶。仏殿に手を合わせ、庭園に回ってみました。

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「これは!!!」庭園というより、敦煌莫高窟、石仏、という言葉が思い浮かびました。鎌倉の地質に多い凝灰岩の崖にお堂のような洞穴を掘っています。

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花頭窓のような形の部分にかつては本尊が彫られていたように見えます。作られた時には、浮彫りされた釈迦の姿があったのでは、

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右の方に目をやると、小さなアーチ型の祠が一つ。また、その右には、絵図で確認すると上部より水が流れてくる滝の水が通る窪みが垂直に彫られていました。

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雨戸が閉まっている仏殿裏手からこの庭を望める。現在の建物は、大正以降の再建だそうです。

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左手には、橋が2つかかっており、その奥の岩肌には階段が掘られているよう。ここから山の方へ上っていけたようです。

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かなりのショックを受けながら、仏殿前に戻りました。

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色変わりしている椿の花が咲いていました。

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家に帰ってからも「あれは、何だっただろう!」とぐるぐる考えていました。5日目の朝、起きる前に頭の中で私の中でひらめいたことがあります。

疎石があの庭で伝えたかったことは、「生きることは、あの岩肌のような壁が眼前に立ちはだかることばかりで上手くいかない。けれど、じっと耐え、努力を重ねていると、一筋の水の流れが現れる時がある。その時を狙い、鯉が滝を上るように這い上がれば、別世界に到達できるかもしれない。」と。

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鎌倉末期から室町にかけて生きることそして亡くなることについて自分の足で各地を回り修行してきた疎石が確信した考えを形に表したものが庭。700年前の疎石の伝えたかったことが、じわじわと少し分かってきたような気がしています。

 

 

 

                               

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2021年5月16日 (日)

Visiting a garden : La petite boutique de roses

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La petite boutique de roses    per Laurent Borniche    Mai.15.2021     

 昨年6月にJR桜木町駅から徒歩で3分という位置に移転した横浜市役所のアトリウム で開催されている『ローズ フェア with 趣味の演芸』に行ってきました。

一番のお目当ては、ローラン・ボーニッシュさんのコーナー。昨年は、NHKの『あさイチ』に出演され、ブーケを作るところを紹介してくださいましたが、娘がその番組を録画しておいてくれ、彼女自身もローランさんのファンに。その時の日本語のおしゃべりがとてもかわいく、(もちろんブーケの美しさが一番気に入っていましたが)今回、ローランさんの展示を見たくて、私と同行してくれました。

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今年のテーマは、小さなバラのブティック。今回の展示を見て、1992年、パリに行った時に、本当にそんなバラの専門店があったことを思い出しました。色とりどりの花びらが、丸いガーデン・テーブルのひらひら落ちたまま。テラコッタの大鉢やアイアンのフラワー・スタンドなどがとてもお洒落で滞在中、何度かのぞいていました。夏のバカンス中でずっと閉まったままでしたが、夜もバラのディスプレーにスポット・ライトを当て、パリのエスプリを感じたことを思い出しました。

ローランさんの展示は、その時のように異文化との出会い、そして興味をいつも刺激してくれるものです。

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Left side

店のカウンター。シックな黒の大理石のような石材。モノ・トーンやアース・カラーの中にバラの濃いピンクや植物のグリーンが鮮やかに見えます。ここでローランさんが、グリーンがかったヘレボルスの茎をカットして、さっとガラス瓶に活けてらっしゃいました。

床材のチェッカー模様が引き締め役。

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斜め左手の開口部より

今回の会場は、アトリウムという天窓や壁面にガラスを多く使った天井高のある空間。自然光に近い状態で、展示をみることが出来ました。

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Front

壁面のグレーのコンクリート打ちっぱなし風パネル。都会にあるけれど、店内は、植物を愛する店主の好みが出ている感じ。

シャンデリアは、トークショウの時に、『ガラスがバラバラになっていたのをなおした。』というお話があったもの。

何事もなかったようにぶら下がって、電球色がきらきらと乱反射しながら、シンボリックに輝いていました。

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Right side

季節のアジサイの水色も見え、手前のえんじ色の葉との対比がきれいでした。奥のバラは、この日の娘のお気に入りのバラとなったフランス Dorieux ドリュ社の新品種 ’Pink vintage' ピンク ヴィンテージ。

外側は、ピンク色で、中の花びらは、少し、くすんだオレンジ。

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右斜めから

赤の太めのストライプ生地を張ったアーム・チェア。この生地は娘の好みのパターンで、私もピアノの椅子のカバーに使ったことがあります。

全体的にParisian Chicというのでしょうか、ピリッと小気味よい感じがする展示でした。

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お昼ごろ、ローランさんのDemonstration.

この日も、「外に出て、みつけた雑草もブーケに取り入れるといいですよ。」とがちがちなバラだけのブーケではない、部屋に飾った時に、自然を感じられるブーケ作りをすすめていらっしゃいました。

最初、国際バラでデモンストレーションをされた時は、通訳を介してでしたが、今は、日本語でお話され、実演も同時進行。

よりご自分の意図する花に対する世界観を私達にも伝えやすくなってきていらっしゃると感じました。

日本に来てくれて、ありがとう!

Merci beaucoup!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2021年5月10日 (月)

Visiting a Garden:香りの庭 港の見える丘公園

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未来のばら園   山下公園            May.3.2021

 先日、朝早く家を出て、7時前に快晴の山下公園に到着。3月のチューリップ フェスティバルの時に開花前のばら園を訪れるとグリーンのつややかな葉が茂り、どのバラも蕾が上がり、スタンバっているな、と思って愉しみにしていたので、この景色は、圧巻。

とにかく、地植えと管理の良さで、バラの株が放射状に生育し、元気の良いバラの姿が見れ、夢のような時間でした。

この場所は1923年の関東大震災後、瓦礫を埋め立て、作られた地域。その5年後に博覧会を開くため、この花壇も作られたそうです。海岸なのでさぞかし風当たりも強いことだと思いますが、日照に影響するようなビルに囲まれた場所ではないので、しっかりバラが育っているよう。

瀬戸内育ちの私の感覚としては、海岸線は南に面していると思いがちですが、ここは北東に面しています。南側は、フランス山などの丘陵があるので、風当たりは、ダイレクトではないのかも。

それから沈床花壇と呼ばれる造りで掘り下げられている場所なので、これがまた、風当たりを弱めているのかな。

2017年に横浜で行われた「全国都市緑花よこはまフェア」を機会にバラ園がリニューアルされ、HT中心であったバラ園が古今の新旧交えた品種を使い、配色よく考えられた植栽に変わっています。

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Rosa ’Jubilee Celebration’   ER, David Austin, U.K ,2002

昨年は、行けませんでしたが、国際バラとガーデニング ショウのなくなったことも相まって、ここ最近、毎年山下公園には訪れています。

今年は、香りの立ち込める中、ただただ、ゆったり楽しませてもらいました。

その後、今までバラの季節には訪れていなかった港の見える丘公園にも足を延ばして行くことにしました。

 

ずっと歩道橋が整備されており、車道沿いを歩くことなしWalking.

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フランス山

フランス軍のキャンプ地、フランス領事館があったことから、この地域はフランス山と呼ばれるそうです。

ここも植栽を以前よりも変更していて、この日は石楠花の花が木陰の中、輝くように咲き、楽しめました。

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ちょうど、この日の次の日、NHKの大河ドラマで横浜の焼き討ちの計画(未遂)を立てている場面がありましたが、そういう事情を踏まえ、1863年、ここにフランス軍が進駐を始めたそうです。横浜港を見下ろせる眺めのいい場所です。

この古い写真は、現地にあった看板を撮影したものですが、手前の円形の花壇や道は当時と同じものが、今も現存していることがわかりました。心の中では、芭蕉の「兵どものゆめのあと」という句が浮かんできました。

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Rosa ’Francis Debreuil’ The Roses,Debreuil,France,1894

 さらに上り、有名な港の見える丘の展望台の先に「香りのばら園」はありました。ここも以前訪れた時は、西洋ツゲが植えられた沈床花壇であったことは、覚えていますが、がらっと変わって、立派なバラ園になっていました。

出迎えてくれたのは、深紅のフランシス・デュブリ―。花びらの形の切れ込みが大きく、花形が綺麗で、しっかり咲いていたので、「最近のバラだろう。」と最初、思いましたが、名前を見て、「あれ?」ということで、家に帰って調べてみると、作出1894年!明治27年・・・。日清戦争!といった頃のバラ。

フランスのリヨンのデュブリ―は、元は仕立屋で晩年から、バラの育種を手掛けたそうです。彼の娘は、Antonie Meilland (Papa) アントニ―・メイアンと結婚し、その娘に捧げられたバラは、20世紀最も有名なバラ ’Mme A Meilland’、あの ’ピース’ だそうです。

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ここも沈床花壇になっています。

英語では’Sunken Garden’ サンクン ガーデンと呼ばれますが、最初、英文を読んでいた時 ’sun’ [太陽」に関係あるのかな、と思ったような…勘違いをしていました。’sink’の過去分詞で受け身の形容詞的用法で「沈められた花壇」という意味になります。

地面を掘り下げ、まわりにカイヅカイブキなどの常緑の針葉樹で囲むことで、花の香りがよくたちこめるように考えられた形をとなっているそうです。ここも階段で1mは下ったような。

4つの香り、ダマスク、フルーツ、ミルラ、ティーの香りで植栽を分けていました。

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Rosa ’Sir Paul Smith’  Climbing Rose, Beales, Britain, 2006

アーチでひときわ目立っていたのが、サー・ポール・スミス。初めて見たのは、国際バラのBarakuraのショーガーデン。濃いめのフューシャ・ピンクが目に飛び込んできたことを思い出します。外側がわずかに色が薄いリバーシブルの花弁であるところも、なかなかExtraordinaly!

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アーチのバラも花盛り。全体のスケール感が山下公園よりもこじんまりして、秘密の花園のよう。

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外周は、ゆったりとしていて、バラを遠くから眺めながら、ベンチで一休み。

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Rosa 'Kazanlik'  Damask Rose  1689     

なかなか、育っているのを見ることが出来ないブルガリアのバラの谷に咲くという精油をとるバラ カザンラク。

ダマスク香とは、このバラ由来。

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Rosa  ’Maigold'     Shrub Rose  Kordes, Geramany, 1953

ジャクリーヌ・デュ・プレの交配親。確かに雄しべがピンク色。あの花の雄しべと花形はここからきている。ミルラ香。

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Rosa ’Duchesse de Brabant’  Tea Rose  Bernerd, France, 1857

とても、かわいく旺盛に咲いていたデュシェス・ドゥ・ブラバン。ピンクの花弁が透けているような感じでフワフワ咲いていた。

陽を浴びて、元気いっぱい。

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最後に登った階段のアーチ。娘が「あのバラが好き!」と言ったのが,これからもっと咲きそうだった中央から左に見えたコーネリア。

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Rosa ’Cornelia’  Hybrid Musk  Pemberton, Britain, 1925

ムスク香の植え込みのところにも咲いていて写真を撮っていました。蕾が幾分赤みが強く出るので、コーネリアとわかる。

国際バラに出た時、このバラを手伝ってくれたMちゃんが持ってきてくれてパーゴラにかぶさるように置いたことを思い出します。

多くの人に「あのバラは何?」と何度も聞かれるほど、女性に大人気でした。

 

一緒に行った娘は、「一番好きな香りは、ミルラかな!」と言っていました。

なんだか、今まで庭巡りに小さな頃からいろいろ連れまわしてきたけれど、(真夏の桂離宮では、彼女は熱中症っぽくなってしまった)初めて「自分はこの花が好き。」とか香りのことも自ら探していたので、やっと楽しんでくれる年になったんだと思い、うれしかった。

映画やイギリスが好きなので、バラのネーミングの由来も話すと興味を持ってくれていたような。

よかった、よかった。人生。いろいろな愉しみが待っている。

 

 

 

 

 

 

 

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2020年8月17日 (月)

Visiting a garden : クレマチスの丘

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Clematis 'Victor Hugo'          Aug.15.2020

いつか行ってみたい、と思っていた静岡のクレマチスの丘に行きました。

富士山の南西にある愛鷹山の裾野に位置しています。

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なだらかな斜面の中に美術館があり、お庭は、大きく2面に分かれていました。曲線の園路があり、それをたどりながら、イタリアの彫刻家のジュリアーノ・ヴァンジ氏の作品を巡っていきました。作品は大理石の色や模様、質感の違いを使い分けながら彫られた人間の具象彫刻。作品のまわりをぐるぐる回りながら、作品を一つひとつ観ました。

芝生のグリーンがまぶしかった。

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2つめの庭には、睡蓮の浮かぶ円形の池がありました。真ん中に位置する美術館の屋上から見下ろした所。

白の百日紅が光を反射してきれいでした。

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2つめの庭には、NHKの趣味の園芸などでよく紹介されているクレマチス群がアイアンのオベリスクや塀沿いに植えられていました。

真夏なので、開花はどうかな、と思いましたが、いろいろ咲いていました。2番花が咲いていました。    

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Clematis 'Clione'

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Hosta & Fern

日陰の植物もきれい。

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Roses

暑い中、バラも咲いており、手入れが行き届いているな、と思いました。

きらきら輝く植物を目に焼き付かせて、帰路につきました。

 

    

 

 

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2019年8月24日 (土)

Visiting a garden : 足立美術館

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                                                       Aug.14.2019

足立美術館に初めて訪れました。この日は、翌日西日本を縦断した台風の影響で、強風が吹く中の夏の暑い日でした。

館内に入って通路沿いに白砂を敷いた一角に水の流れる鹿威し(ししおどし)がありました。黄緑色にモミジの葉が透けて美しい緑陰に夏の暑さを忘れるような場所。

ここは、少し外に出られ、水の音、風を感じれるので、一番印象に残った一角になりました。

子どもの頃に、遊びに行った古い庭のあるお家のことを思い出しました。そこで松ぼっくりを投げ合ったり、飛石の上をぴょんぴょん飛び越しながら、鬼ごっこをしたことなど、さんざん遊んだことを思い出しました。

この一角に工事中の看板があり、魯山人館を建設中ということでした。

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The Moss garden 苔庭

川の流れのように白砂を敷き廻し、奥に続きながら両側にアカマツが覆いかぶさるように生えています。

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石橋を見ると、白砂は、水の流れ。松が盆栽のような仕上げ。

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枯山水庭園

大きな窓から望める枯山水庭園。クロマツが小さく仕立ててあり斜面の緑につながっていく。

背後には山並みの借景。

ツツジ、サツキの剪定は年に8回行うようです。きれいなドーム型に刈られています。

朝早くに手入れをされるようです。

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クスノキの大木越しに庭園を見る。

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池庭

鯉が泳ぐ池。反射が眩しく、夏の庭の水景色としてホッとする庭でした。

足立美術館の庭はアメリカの日本庭園雑誌 The journal of the Japanese gardening

において2003年より第一位となっているそうです。

 

第2位は桂離宮。

足立美術館は、ガラス越しに観る庭園。桂離宮は実際に庭を歩いて、楽しむ庭園。

そういった面で、楽しむ内容は違います。

 

私が庭を訪れる楽しみは、視覚だけでなく、風や鳥の声,虫の音など自分がその場所に滞在したという記憶を刻むもの。

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