My Favorite song : Tong Poo
坂本龍一さんが亡くなっても,その時々に出された音楽はその時代を写し,今もその時代を振り返る心のアルバムのようでもあります。
坂本さんが亡くなった頃,私の兄も他界し、その頃は、絶句状態でした。でも今年に入って、オペラシティのICCで行なわれた回顧展覧会で何か吹っ切れた感じを待つことができました。
坂本さんが、ピアノに向かって「Life」を演奏しながら,「エブリディ〜」と歌っている姿とその背景にミックスされた外国の(北米?)の小さな町から飛び出し空を飛ぶドローン撮影映像との合成された大型の作品がありましたが、今となっては,「僕は毎日,淡々と空から見ているよ!」ってみんなに伝えてるような気がしてきたのです。そんなふうにその映像作品を見ると、なんだかニヤッとしてしまい,落ち込んでいた気持ちが軽くなった気がしたのです。
その会場で行われた生前行われた展覧会の際は,ご本人のトーク・ショーがあり、一所懸命並んで聞きに行ったことも思い出されました。
坂本さんは、音楽を通してずっと先の未来を表現してくれたんだと,改めてその才能の先進性と影響力の偉大さを感じています。
生前の活動を記録した映画なども見に行きましたが、最後の映画は、私は辛くてまだ見ていません。娘と主人は坂本さん音響空間監修の映画館で映画を見に行きましたが。
8月に出されたアルバム「Opus」はやっと最近,聴けるようになってきました。
その中で聴いていて最も感慨深い曲はは、「Tong Poo」。昔を懐かしむように以前よりもゆっくりとしたテンポで、弾かれていました。
「東風」という意味は,アジアの果ての日本から,西欧に向けて音楽の新しい風を吹かせる,という意気込みの曲という意味ではないかと私は捉えています。
スローに演奏すると民謡の節のようにも聞こえてくるこの曲は、世界に日本の調べを取り入れたテクノ・ミュージックというかなり革新的な曲として打ち出したされたものであったと改めて思い返しているのです。この曲を調べると1978年に最初,出されていました。
私は80年代初頭、YMOを知りました。音大のピアノ科に進んでいった友人とこの話になり,彼女はピアノの発表会で坂本龍一も高校生ぐらいだった時にその発表会に出ていたことをパンフレットを持ってきて見せてくれました。私は無謀にもその高校の頃、体育祭の応援合戦でこの曲を使わさせてもらい独断でチアの踊りまでつけたのでしたが、今考えると,あまりにもはずかしいことをした,としか思えない事実です。
とにかく随分、カッコ良い曲としてとらえていたわけです。
その後、大学に入って,先輩と話していて「YMOがいいよね!」ということで,バンドをするから入らないかということになり、最初に配られたのが、この曲でした。
シンセサイザーは友だちに借りに行ったKURWEILでした。
みんなで合わせると、間奏の微妙なコードとリズムで演奏が分解バラバラになるという,素人バンドあるあるにハマり、結局、YMOはやめになりました。もう一曲はライディーンだったと思いますが。
最初の「YMOをするから,」という話であったものが、何を学園祭で演奏したのか,覚えていませんが,私にはどうでもいい曲だったような。
そんなこんなの私にとっても大変,懐かしいTong Poo。
今年の秋,公式スコアより最後のPiano versionを入手して、昨日も今年の弾き納めに練習しました。
ゆっくり,弾くので間奏もだいぶ上手になってきました。
「すべては,この曲から始まった。」
と思える曲です。
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