2023年12月23日 (土)

Home music : レスリー・オドム. Jrの "Simply Christmas"

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 昨年,Instagramのリール動画につける音楽を探していて数ある “My favorite things” のカヴァーの中でも一番いいと思ったLeslie Odom Jr. の歌声とアレンジ。昨年のクリスマスには,この曲の入っているアルバムをずっと流すようになりました。

娘が,昨年クリスマスプレゼントにとCDを注文してくれたのですが、今年の1月まで入荷待ちで,年が明けてやっと送られてきました。

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アルバム自体は2016年のものですが、ご覧の通りの名曲揃い。静かで心に響くクリスマスに聴きたい名曲が入っています。Tommy Kingのピアノの伴奏も息が合っていて,自然に音楽が流れていきます。

このレスリーさんのことを調べると、アメリカ建国史の中で財政面で活躍したAlextunder Hamiltonとそれをライバル意識していたレスリー演じるAaron Burrが、中心となってを展開させていくミュージル “Hamilton” に行きつきました。アメリカで流行っていた頃に日本にいたアメリカ人の知人がヘッドフォンでハミルトンを聴きながら,Hip Hopを口走っているぐらい,アメリカで大変話題になったミュージカル。

その頃は、その音楽も内容もついていくことができず,かなり高度なイメージかつ見ることが出来なかった『ハミルトン』も今年やっと字幕付きで見ることが出来,アメリカの歴史も少し知ることが出来ました。

彼の声の少しハスキーでざらっとしている声は、Nat King Coleの深みのある懐かしい感じの歌声にも似ています。男性にしては裏声で歌う部分も多く、キーが私と近いので随分一緒に歌えるようになりました。

今年もお風呂の中で 一曲目の “Have yourself Merry little Christmas”をかけながら一緒に歌い出し,ついつい長風呂してしまう,いいアルバムです

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2023年12月 1日 (金)

Home Music : Jon Batiste

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”Hollywood Africans ”  piano score

 今年私が一番聞いた曲は、ジョン・バティステの”What wonderful world”だったとストリーミング・サービスが教えてくれました。

昨年、この曲のカヴァー曲を聞き比べていると、このジョン・バティステのアレンジが一番、サッチモの表現した世界観に通じるものを感じ、彼のアルバムを聞くようになりました。私はピアノを弾くのが趣味なので、自分もバティステごっこしたくなって、楽譜を海外から送ってもらいました。

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このアルバムは、2017年のもので、今頃聴いている私はかなり時代遅れなのでしょうが、彼の伝えたいメッセージがシンプルなアレンジの中、しみじみ届き、すーっと心に響いてきます。

ニューオリンズ出身なのでJazzが基本、クラシックも学んでいるので、ショパンのノクターン 20番がJazzにアレンジされていています。それは、黒人霊歌のような曲になっていて、元からこうであったかのように聴こえます。ショパンもきっと驚くようなアレンジになっています。

2022年には、”WE ARE”というアルバムがグラミー賞最優秀アルバムに選ばれましたし、今年のアルバム”World music radio"もノミネートされています。

先日も彼のドキュメンタリー映画 ”AMERICAN SYMPHONY” がNETFLEXで配信されました。彼が、新しい試みをしようともがく姿やパートナーのスレイカのことなど日々の内面の世界が綴られていました。

楽しく歌って踊る姿が全面に出ることも最近は、多くなっているのでしょうが、深い精神性を秘めた表現を目指している彼の音楽は、何度も聴く価値のある音楽です。

 

 

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2022年2月23日 (水)

Home Music : Diana Krall ’Wall Flower’

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 冬中聴いていたダイアナ・クラールの2015年のアルバム『ウォール・フラワー』のピアノ譜。年末に頼んで、イギリスから送られてきて、正月明けぐらいから手元にあります。

アルバムの中の曲をサブスクリプションで流していたのですが、CDアルバム自体を買っておこうと思いながら、今日もネットで流していました。

わたしよりちょっと上の世代の方たちが懐かしいヒット曲 哲学的な内省的なぐるぐる寂しげな気持ちを歌った男性シンガーの曲。1970年代のBob Dyran,Paul McCartney,Elton John, Eagles, Gilbert O’sullivan等のカヴァーアルバムですが、Randy Newmanの90年代の曲もあります。

それをダイアナの低いハスキーな曲でしみじみ歌い上げて、どれも彼女の歌のように聴こえます。

特にこのアルバムで好きになった曲は、イントロが哀愁漂う Eagles の ’Desperade’, Randy Newmanの 大らかな優しい気持ちに包まれる ’Fells like home’。

はもるところにMicheal Boubrais 等が加わっていて、一曲、一曲丁寧に録音されています。

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 娘が「アレンジがいいね。ストリングス使ったりして…。」と言って、アレンジを調べて、「David Fosterだよ!」って教えてくれました。

曲だけ流していて、そういう情報一切、知らずに繰り返し聴いていた源は、David Foster だったのです。

2015年のアルバムなので、記憶があってもいいのですが、その頃の私は、たぶん音楽をゆっくり聴いている状態ではなかったのでしょう。

お家時間が増えた今だからこそ、このアルバムの良さを知っているところです。

David Fosterのセンスは、’Hard to say I'm sorry'の時からのファンで、作品の追っかけをしていました。写真のピアノ譜は、Chicago参加以降の代表作のピアノ譜。映画 ’St Elmo’s fire'、'The Karate kid 2' , ’The secret of mysucccess', 等映画音楽の挿入曲も含まれているので、時々弾くと、どれも微妙な音の重なりが教会音楽のように美しい響きです。

そのDavid Fosterが懐かしい名曲をリ・アレンジしているので、なるほど荘厳なイメージも加わり、原曲をより印象深く感じさせてくれるのでしょう。

歌詞の意味も昔は、ほぼ素通りしてしまっていた私ですが、何度も聞くうちにそれぞれの持つ世界観がようやくわかってきたような感じがします。

これからもたぶん、聴くし、CDも手に入れよう。デラックス・ヴァージョンっていうのもありるようだから、よく考えて決めよう。

 

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2021年6月26日 (土)

About An Artist : Sadao Watanabe 70th Anniversary Concert

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  昨日、4月29日から延期になっていた渡辺貞夫さんの70周年コンサートがサントリーホールで無事に行われました。

大変な時期にこの記念公演が重なり、大層皆さん、この日に至るまで大変であったと思い、出演者がステージで最後に挨拶のために一列に並ばれた時は、「ご苦労様でした。」と思いながら拍手しました。

渡辺貞夫さんと私の母は、同い年。88歳。昭和一桁生まれの方々は、本当に好奇心いっぱいの方が多いと帰ってから、思ったしだいです。

他界した父もそうで、少年時代を田舎で過ごし、空を飛ぶ飛行機を見て、パイロットになりたいと思いながら、終戦を迎えたそうで、戦後の民主化の中で、自分の信じた道に進み、Geographerとして、世界各地に調査に出かけ、亡くなる少し前まで仕事も引き受けていた父でした。

学校で教えられたことが、これからは違う世の中になると、大人に言われても・・・。じゃあ、何を信じればいいの?自分でしょ!とこの時代の人はなったのではないかな、と思ったりします。

ナベサダさんのBiographyの断片は、時々、伝えられ、世界中を旅して、自分の目で見て確かめてきた足跡が音楽に生かされてきており、人は旅をしなきゃ、と我が身を振り返る次第ですし、子どもたちにもそれを勧めたいと改めて思いました。

とにかく音色の温かさから、信頼感や安堵の気持ちを感じさせてもらって、数十年。Orange Express の頃は、CMの中の人でしたが、

アルバム『ELISE』の頃から、熟聴させてもらい、所属していたAmature Jazz Fusion Bandでは、数曲、演奏させてもらいました。

昨日も、ナベサダさんは若いミュージシャンとともに笑顔で合図を送りあいながら、曲の間もほぼ、休まず間髪入れずにカウントを出したりして、精力的に、楽しく演奏されていました。

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Album ”Naturally” 2015  Recorded in Brasil

My 80’s Casette tapes  "ELIS" ,"FRONT SEAT", "SWEET DEAL", "BIRDS OF PASSAGE", "KIRIN LIVE '90", "AMERICA LIVE '90"

今回の構成は、Jazz&Bossa with Strings ということで、演奏プログラムを紐解くと印象的だったのが、第2部。

Luis Bonfaの『カーニバルの朝』から始まり、決めきめの演奏で楽しそうな『Passo de Doria』等、ナベサダさんの作曲した曲を中心とした構成でした。ギターのマルセロ木村さんのつま弾く弦の調べが葉を揺らす風のようにキラキラ会場に響いて、サントリーホールにブラジルの風を吹かせていました。CDでは、小編成で録音しているものも実際にコンサートで見ることは、ほぼなかったので、しみじみAccorsticな調べを楽しませてもらいました。

アンコールの『花は咲く』は、素直にメロディーをたどるように演奏され、心の中で、歌いながら聞きました。

久しぶりの生演奏の音の響きに感動がこみ上げ、涙がじわっとでてきました。我慢してきている心の蓋を開けてもらった感じ。

拍手の時、みんなも同じ気持ちのようで、ナベサダさんを拝んでいるようにも見えました。

一緒に行った娘もClassic Saxphoneを吹き、普段は、逆にSaxphoneのコンサートは敬遠なのですが、ナベサダさんのコンサートは12歳の頃より、3回目。今回も「行きたい!」と言ってくれ、「最初から、涙が出た。」と彼女の心にも音が響き、感情を揺さぶったようでした。

「毎回、音色が変わる。」というぐらい、どんな音を出しているのか、ということやSelmerやリードのことなど、あれこれ帰った後も、気づきを言っていました。

二人で、ナベサダさんに日本の歌をシンプルに吹いてもらいたいね、と話をしました。

言葉はなくても、ナベサダさんの音には、Saudage がしみ込んでいるので。

2014年のクリスマス・コンサートの時の記事はこちら

 

 

 

 

 

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2020年5月16日 (土)

Home Music : Josh Groban ”The Prayer”  祈り

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先ごろ、行われたCoronavirusに対する医療従事者の方を応援する ”One World together at home” で最後にLang Langさんがピアノを弾き、Lady Gaga,Celine Dion, Andrea Bocelli, John Legend 、みんなで歌った "The Prayer"がこのアルバムには入っています。私もこの曲が好きで、購入したのですが、実際、人が懸命に歌っているのを目にしながら、聴くと涙がどっと出てきました。不安が吐き出され、世界の人と願いが通じ合えた気持になりました。

特に、歌詞の

♬ Lead us to a place,

  guide us with your grace,

  to a place where  we'll be safe

「(神よ)、あなたの恵みで私達を安全なところへ導いてください。」というところが、今世界がCovid-19の猛威に脅かされる中、人々が再び安全に暮らせる生活になりますようにと願っている気持ちと重なります。

この曲は、作曲がDavid Foster、歌詞はCarol Bayer Sager。最初は映画『魔法の剣 キャメロット:”Quest for Camelot"』(1998年公開)のための曲でした。主人公の娘を心配する母が亡き夫に天国から見守ってください、と願うシーンに、Celine Dion が歌っていました。歌詞の内容もそういった場面の内容であるため少し、今の歌詞とは違います。また、現在の”The prayer" の曲想が変わる部分は、映画の別のシーンに使われていた曲で、後から映画の中の2つの曲を合わせ、歌詞を変えたものが現在の曲であることが本日、映画を見てわかりました。

最後のEnd Rollで流れる曲の最後にAndrea Bocelliが歌うイタリア語Version がオーケストラ バックに流れており、この曲の現在まで事あるごとに歌われてきている懐の深さの片鱗を伝えていました。

その年のGolden Globeの主題歌賞を取っていますが、同じ年Whiteney HustonとMaraia Caryが主題歌を歌ったアニメ映画 ”Prince of Egypt"の主題歌 ”When you believe" がバッティング(この曲もすごかった)していたので、Grammyはノミネートのみで、受賞は逃しています。その後Celine Dion、Andrea Bocelliのそれぞれのアルバムに入れられ、二人がDuetしたversionが生まれ、ヒットし、2000年に、GrammyのBest Pop Collaboration for vocals 部門で受賞しています。

私がこの曲は、最初に聴いたのは、2002年2月のSalt Lake city Olympicの閉会式でした。

銀盤の上でスケーターが滑る中で、暖かそうなムートンのコート(実際は毛皮にダウンコートだった)を着た16歳だった可愛いCharlotte Churchが澄んだ声で歌い出し、ぐーと引き付けられた後、Josh Grobanがいつのまにか登場し、歌を引き継ぐように落ち着いたバリトンで加わり、二人のDuetになり、あれよあれよと感動的に盛り上がり、二人のハーモニーで静かに終わっていく、聖火も消えていくという場面でした。

その時の映像はこちら

動画のコメントを見ていると前年の2001年に9.11が起こり、安全への不安が募っていた頃、人々の気持ちを代弁するように歌われたタイミングであったことを思い出しました。

その当時、ライブ映像であっという間に終わってしまって、もう一度、聞きたくて彼のアルバム”Josh Groban ”を購入しました。Producer は David Foster。

予想通り、いいアルバムであり、お家でよく聞いたり、ひいひい一緒に歌ったりしていて、かなり聴いてきたアルバムです。

いろいろな ”The prayer" のVersion がありますが、一番好きなのは、この若い二人が歌ったVersion。

他にも4曲目には、Morricone の “New cinema paradise” のテーマ曲を歌で抒情的に歌っているのもいいし、12曲めの Bach の "jesu, joy of man's desiring"も Joshの歌い上げる所が、圧倒的な荘厳さを醸し出しています。

珍しいのが画家 Gogh(ゴッホ)の作品『星月夜』を通してGoghのことに想いを馳せる詩の”Vincet"(starry ,starry night)

歌になるうたわれる絵画というのもあまりないような・・・”Mona Lisa"はあるけれど、あまり思いつかないので、貴重な曲。

 

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2018年9月25日 (火)

Home Music : Gregory Porter

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グレゴリー ポーターのCDを渋谷のTOWER RECORDSのおすすめアルバム コーナーで知ってから、その時は、全然知らなかったので、すぐ買わなかったのですが、「やっぱり、欲しい!」と思って、もう一度出かけなおして購入したのが、2016年の夏。

それ以来、昨年、暮れに出された アルバム NAT"KING"COLE & ME は、待ってました!の美しいStringsをバックにした Nat King Coleへのオマージュ アルバムでお風呂につかりながら、よく聴いています。

落ち着きのある低い声で安定感であり、オペラのように作った声でもない、びみょうなしゃがれや語りかけるような歌声は唯一無二の歌声。

速いテンポの曲もコントラバスぐらいのボンボン低い音をぶれずに出せる。

録音も専門用語で何というのかわかりませんが、スタジオでバンドメンバーと一緒にライブ録音しているものなので、楽器のSoloの入りもこれ以上ないだろうというぐらい自然に入っていて、いいのです。

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初めて店先で聴いた時は、"TAKE ME TO THE ALLEY" の宣伝だったのですが、その前のアルバム"Liquid Spirits"も視聴して、すごく良かったし、BLUE NOTEでのスタンダードを歌った複数のアーティストと一緒の録音盤もよくて、ずい分、最初の一枚をどうしようかと迷った思い出があります。頭を冷やして、家に帰って動画サイトなども見て聴いていくと、ヨーロッパでのコンサートのオーケストラをバックにスタンダードを歌っているのもゴージャスでいいな~と思っていたのですが、その時は、その編成でアルバムはまだ出ていなかった・・・。

昨年、横浜のBLUE NOTEに出演予定でしたが、そのJAZZ FESTIVALは中止になったので、今度いつ日本に来るのかなと思っていたら、年末素敵なアルバム NAT"KING"COLE & ME が発売になったよう。近所の電器屋さんのCD売り場に並んでいたので、即購入し、聴きまくっていたわけです。

今回のアルバムの中で特にチャップリン作曲の"Smile"のカヴァーは、今の時代にも希望のメッセージを再び届けてくれるパワーを持ったアレンジとポーターの歌声で圧巻。


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2017年11月20日 (月)

About An Artist : Ryuichi Sakamoto :CODA

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昨日、有楽町の映画館に坂本龍一さんのドキュメンタリーを見に行った。
先週ニュースでこの映画のことを知り、どこで上映しているか、調べると、東京でも2館のみの上映で、見逃してはなかなか見られないかもしれないと思い、行ってきた。昨年は、娘が"Revenant"の試写会に抽選であたり、実は初めて坂本さんのピアノ演奏を聞くことが出来るという幸運に恵まれた。治療のため、お休みされて以来、久しぶりの映画のため作曲された作品で、ストーリーも厳しいが音楽も絶望の淵に吸い込まれそうな大変厳しい音楽であった。今回の映画でも語られていたが、やはりご本人も厳しい状況での仕事だったようだ。以前の記事はこちら

今まで、紹介されてきた活動や演奏の足跡を追ってきたTV映像なども使われ、新たな映像、もちろん音楽とともに、ご本人の回想インタヴューとともに綴られていた。

タイトルのCODAって音楽の記号。to Vide_2「コーダへ」という部分から小節の左上のVide_2Codaへ飛び、そして、曲は、終結部に入り、終わりを迎える。それまで、さんざん繰り返し記号で初めへ戻ったり、もう一度印象的な山場を演奏したりした挙句、CODAが出てくると、いよいよ終わりに近づくよ、となる印だ。Vide_2は、イタリア語で゛Vide"「見よ」という意味だそうで、それまでは、無視して演奏するが、最後はしっかり見て終結部へ向かうように楽譜の中でも目立つ形にしているらしい。

映画で時代を追いながら、見ているとどうしても自分のことも思い出された。YMOとの出会いは『ライディーン』だったが、大学時代、先輩が、バンドを学園祭に向けて、結成するという。なんでもYMOの曲をするとか、なんとか・・・。それにつられて、入り、キーボード担当で楽譜もコピー譜をもらったが、家には、アップライトのピアノしかなく、キーボードなどない。そこで、高校時代の友人のKurzweilのキーボードを借りにいった。映画の中でシーケンサーを使う場面が出てきたが、結局、説明書もなく借りたので、シーケンサーも上手く使いこなせなかった。みんなもタイトなリズムキープは出来ずにYMOのコピーは、崩壊してしまった・・・ことなど、恥ずかしいことを映画の後に思い出した。

まねしたくなるほど、私は「YMOはかっこいい!」と思っていた。

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Kamaishi port in Iwate prefecture            Aug.11.2011

震災で水に使ったピアノを坂本さんが弾くシーン。

2011年3月11日。東日本大震災の後、震災のニュース映像がテレビに映された時、倒れて、泥にまみれたピアノを見た。あのピアノを弾いていた人の普通の暮らしが津波に奪われた。突然、多くの人が津波にのまれたことを思うと、心残りであったろうと思わずにはいられなかった。

その後、8月に東北出身のGeographerであった父がこの震災の状況を私や孫たちに見せたいと被災地に連れていってくれた。それは、TVでは表現できない津波の凄まじさを私たちに伝えるものだった。

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震災後、皆、出来ることは何か考えたと思う。また、人生の終わりの日は突然訪れることも自覚したと思う。その後、父も闘病の末、他界した。極寒の地から灼熱の地まで調査に出かけた父は、今までの仕事をすべて、整理し、記録を残してくれた。まだ、全部は読むことが出来ないが、書いたものから父の考え方を知ることが出来る。1,2年のうち一晩ぐらい、笑顔の父が夢に現れ、大事なことを伝えに来てくれる。本当のことだ。

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今年4月に出たアルバム『async』にまつわるシーン。

一緒に映画に行ったパパさんは、先日、娘に「一番好きな映画は何?」と聞かれて『惑星ソラリス!』と答えたばかりだったそうで、映画の後、「すごーい。坂本さんと趣味が同じだ!」と喜んでいた。パパさんは20歳ぐらいの時に見たそうだ。そういえば、パパの撮る写真に映像が似ているような気もした。

私は、『惑星ソラリス』〈1972年 タルコフスキー)については知らなかったが、そこで、BGMにBachの゛ Ich ruf zu Dir, Herr Jesu Christ (BWV 639)"を挿入している場面を今回の映画で見た。

鳥の声など主人公のいる草むらの周辺から聞こえてくる音に耳を澄ましていると、バッハのオルガンのコラールが流れてきた。自然界の音と音楽、そして映像があっていた。不思議な感じだった。タルコフスキーがどうやって、このアイディアを思いついたのかは、わからないが、子どもの頃、Sunday schoolに行っていた私は、礼拝の初めてと終わりに演奏されるバッハなどの長めの曲をじっと聞いているのが、実はつらかった。しかし、目をつむりながら、頭の中にお話を想像するようにして聞くようにするとなんとかじっと聴けるようになった。もしかしたら、タルコフスキーも子どもの頃、こんな空想体験があったのかもしれないと思った。

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『async』の中の坂本さんの曲「solari 」は、『惑星ソラリス』のバッハのコラール(ルター派の讃美歌)に代わるものとしてとして作った、と言われていた。何か、聴いていると、私は、子どもの頃が呼び覚まされるようだった。夕焼けの中母の元に帰るようなノスタルジックな気持ちになる。それから、子どもの頃聞いた、オルガンのフガフガしたようなシンセサイザーの音色も過去の記憶を呼び覚ます。

『async』には、いろいろな音が存在している。その何かわからない音に聞き耳を立てる。聴覚は、危険を察知するために視覚より早く反射行動を起こすという。この何か得体の知れない音に注意しながら、これは何かと状況を判断しようとしている。

また、以前に知ったことなのだが、小鳥のさえずりとフルートを聴いた時と、脳は、どちらが活性化しているかというとことを調べると、小鳥のさえずりの時なのだそうだ。

こう考えると、今、音楽として限定的に使われている音は楽器や人間が可動できるかという範囲で作られたもので、その中で、喜怒哀楽を表現してヒットしたとか、上手いとか話題にしているものだ。

実は、どんな演奏家も自然の音には勝てない反応を人間の脳は示しているわけで、多くの音楽を演奏し、音を作り、作曲してきた坂本さんはそのことに気づき、何年か前より、自然界の音や町の音などを録音している。やみくもではなく、今の自分の心の風景に合う音を聴きたい、そしてそれを使いたいと探している。それは、新しい音というわけでなく、人の心に過去の記憶を掘り起こす音もある。

ラスト シーン。バッハの平均律クラヴィーア曲集 第1巻「プレリュード1ハ長調」(Das Wohltemperiertes Klavier 1 "Preludium 1 C dur" BWV846 )を一人で弾いていたシーン。

この曲を求めているんだと思うと、最後、涙が噴き出した。

自分も何か嫌なことがあってもこの曲を弾くと、脳幹に響くようで、心が安定する曲だからだ。自分自身に聴かせる曲として位置付けている。癒しの力を持つ音楽は確かに存在する。

音の持つ力を見つけ、また新しい音楽に挑戦している坂本さん。

Vide_2Codaに入ったとしても、poco a pocorit.や日没を表すというPoint_dorguesvg_2を譜面につけVide_2をじっくり感動的に演奏していってほしいと思っています。

 


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2016年9月24日 (土)

Home Music : Adele

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Adeleは、娘が好きでお付き合いで聞くようになったのですが、昨年3年ぶりに出された『Adele 25』は、それまでの恋愛を歌ったものよりも一回り大人の雰囲気で、「むむっこれはいい!」と真面目に聞くようになりました。
彼女の落ち着きのある低音から生み出されるパンチの効いた抑揚のある歌唱力は素晴らしい。歌う姿に引き込まれます。

お休みの3年の間、出産を経験し、以前よりも愛に満ち溢れ、母として自信も兼ね備えたSuper womanになって帰ってきた、という感じです。

今回のアルバムは発売前から予約殺到で、売り出された時には、一気にセールス記録を出したという怪物アルバム。
それまでの実績があってのことだと思いますが、私のような新たなファンもきっと、このアルバムで生まれてくると思います。

来年のグラミー賞がどんな風になるか、楽しみです。

特に私が一番好きな曲は"Wnen we were young"。老眼が入って、CDの歌詞カードが読めない今日この頃ですが、拡大コピーしてAdeleと一緒に歌おうとして、家の中で歌いまくっていました。

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先日、ピアノ譜が出ていることをアメリカの楽譜屋さんのサイトで見つけ、送料もろもろ計算すると日本のアマゾンでも同じ HAL LEONALDO社から出された輸入楽譜があり、こちらの方が早くて安かったので、購入。

今、Adeleの声に合わせてバンドメンバーのようにピアノを弾くのにはまっています。

歌詞、コード、メロディー譜、ピアノ譜が併記。ピアノは、録音の時のアレンジではなく、メロディーも絡めながらの記載になっているので、一人で弾くときは、メロディー入りで、Adeleの声を流しながらの時は、コードだけを弾く感じで楽しんでいます。

一緒に弾いて思うことは、「やっぱり、彼女は、歌が上手い!」。たぶん、バンドメンバーもアデールと一緒でとても楽しいと思います。

彼女の歌は真剣勝負ですが、時々、おしゃべりしながら「ハハハ・・・!」と笑う姿、とてもチャーミングな女性です。ライブの映像を見ると、彼女の衣装やメイク、舞台のセットなどイギリスのクラッシクな趣味が見え隠れしてとてもおしゃれ。娘に「アデールみたいなつけまつげ、つけたい。」とか、「あんなお洋服、ママも来てみたい!!」とか言っています。

そろそろ、日本にも来てほしい。アデールのおしゃべりにどれだけついていけるか分からないけれど、一緒に歌う準備はしておきま~す。

Dear Adele, Please come to Japan !

と書きましたが、先ほど、他のサイトを見て知ったことが・・・。もしかしたら、子どもさんのためにまたお休みするかも、とのこと。

それが、いいと思います。Adeleらしい。

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2016年8月21日 (日)

Home Music : Toots Thielmans

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 今年の暑い夏にじっと家の中で聞くためにハーモニカのトゥーツ・シールマンさんの『ブラジル プロジェクト Vol.2』を買い込み、時々聞いています。

外のセミの声とこのブラジルの音は、リンクしていて、暑気払いにちょうどいい。

1993年に録音されたアルバムで、現在期間生産限定盤でとてもリーズナブルな価格で販売されていました。「これ!」という感じで選んだわけは、トゥーツさんの音色は、小野リサさんの1993年の"Namorada"で聞いたことがあり、とてもいいなと知っていたから。2曲だけのゲスト演奏だったので、もっと聞きたい!と思っていながら、あまり調べていなかった。

それから、アコースティック ギターのアール クルーの"Midnight in San Juan"の中の演奏も哀愁があって印象的でした。

今回、トゥーツさんのアルバムというものを、発見し、山野楽器さんだったのでじっくり視聴させてもらってから、購入しました。トゥーツさんは、現在94歳で、2014年に演奏活動を停止されたとのこと。多くの演奏家とコラボレーションされてきたベルギーの方です。

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このアルバムのコラボレーションしているメンバーがすごい。私の大好きなミルトン ナシメントの『トラヴェルシア』。ミルトンさんも歌って、トゥーツさんも入る!

ルイス ボンファの『オルフェのサンバ』のアレンジも当然のことのようにいい。どの曲も自然に流れ、オリジナルの曲を損なうことなく、演奏されている。

4曲目のドリ カイミの"Obsession" は、昔ラジオを録音した時にバックで流れていて、曲名やアーティストがその当時分からなかったもので、やっと発掘出来た感じで、うれしい。

よくよく、調べてみると、この曲は、昔よく聞いていたサラ ヴォーンのアルバム"Brasilian Romance"の中でも歌っていたし、ダイアン リーヴスも歌詞をつけて歌っていたことに気づきました。男性のドリ カイミが『ダダラダラララ~」』と歌ってギター演奏で曲が流れていくオリジナル バージョンとt女性ヴォーカリストが歌っているものとは、いくら二人が低音ヴォイスだと言っても別の曲のように思えていたことに気付きました。

ということで、行ったことがないブラジルの風を感じながら、暑さに耐えている今日この頃です。

『ブラジル プロジェクト』の一番目のCDもゲットしておかなくては・・・!


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2015年12月13日 (日)

Home Music : Francesco Sartori ♬

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私が、今とても気になっている作曲家が、イタリアのフランチェスコ サルトーリさんです。遅ればせながらのマイ ブーム。サラ ブライトマンとアンドレア ボチェッリのデュエットで世界的に大ヒットした"Time to say Goodbye""Con te partiro"(1995)の作曲をされた方です。実は、流行った当時、私自身作曲家の名前は全然無関心で、あの曲を聞いていました。

その後、フィリッパ ジョルダーノさんの最初のCD"Passioni"(1998)を聞いていたら、最後の3曲が妙に気になり、よくよくCDの解説を見ると F.Sartoriと書かれていました。「Fってなんの略?」と思ってから3か月ぐらいかかってから、ようやくイタリアのサイト等を探して、Francesco であることがわかり、フルネームを確認。彼の代表作があの"Time to say Goodbye" と分かり、謎が一気に解けた感じでした。

このアルバムののびやかなイメージは、フィリッパさんの歌声の柔軟さとこの曲自体にあったのでした。特に最後の"Maria (by the sea)"という曲が一番素敵です。秘かに始まり、後半、爆発的に広がる感じがすごい。旋律が意表をつかれる感じで、面白い。そして、アラブの音楽も影響しているところが、地中海の国々の文化が混じりあって存在してきたことがこの音楽にも表れているように思い、異国情緒を感じるのです。

そしてつい一週間前、たまたま、昔のサラ ブライトマンのウィーンのシュテファン大聖堂でのコンサートの映像を見ていたら、サラが「次の曲は、フランチェスコ サルトーリが書いた曲 "Canto della terra"です。」と紹介してデュエット曲を歌っているシーンに遭遇!ここでもサルトーリの名前が!!ということで、この曲についてもう一度、調べ、You Tubeで公式映像を見ると、すごく感動的な映像とともにアンドレア ボチェッリ Andrea Bocelliさんが歌ったものが出てきました。この曲は、最初は1999年に出されたBocelliさんの"Songo"に収められた曲。

日本語に訳すと、『大地の歌』という意味だそうです。2011年に出されている公式ビデオは、私も前に一度映像は見た気がしましたが、その時よりも今やっと私の心にも響くようになってきた感じです。

それは、伝えようとするメッセージが今の世界情勢の混乱を包むように聞こえるから。イタリア語の歌詞は、Lucio Quarantotto さん。Time to say Goodbyeもこの方の作詞です。

太陽が等しく地球上に降り注ぐことの恵みを感謝し、皆、等しく地球上に生かされているんだ、それを忘れてはいけないと伝えてくれる壮大な力を持った曲すごい、地球讃歌、人間讃歌だと思います。

遅ればせながら、やっと知った素晴らしい作品を作っている方々で、これからの作品も楽しみです。関心を持たれた方は、公式ビデオですので、ご紹介しておきます。

"Canto della terra"(official video) Andrea Bocelli

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