2015年4月 5日 (日)

Beautiful Books : 美術の物語

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現在、この本の小さなソフトカバーの普及本が書店に並んでいるので、取り上げました。それを見て、思うのは、もし、本棚の余裕と予算があるのあらば、ハード カバー版がおすすめと思っています。普及版であると、図版が小さいので、この本の魅力が半減してしまうような気がしていまうからです。

図版のセレクトが、人類の文化の中で、絶対はずせないものが入れられています。ボッティチェリの『ヴィーナス誕生』やダ ヴィンチの『最後の晩餐』、ミケランジェロの『システィーナ礼拝堂の天井画』、そしてジャクソン ポロックのアクションペインティングは、ページが三つ折りになっており、24㎝×48㎝ぐらいに印刷され、家庭でも落ち着いた気持ちで、じっくり図版を見ることが出来ます。まったく知らなったものも多数あり。

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お気に入りのページは、私が子どもの時から、母が「お母さんの好きな絵はこれ!」と言って教えてくれたイタリアの1世紀ごろの壁画が図版となっているところ。何かの図版を指さして私に伝えた思うのですが、実家にも本なりの実体はありませんでした。覚えている私もまったくビジュアル系の脳をしているなと思いますが、なかなか、この絵を日本でフォーカスして見せているものは、少なかったと思います。

しかし、ゴンブリッチさんのセレクトに入っていました。描かれた女神の後ろ姿は、私にとって、野の花の好きな母のイメージと重なり、子どものころから「お母さんみたい。」と心の中で思っていた絵でした。あまりにも美しいので、お世辞にも面と向かっていえませんが・・・。
この本を通して、手元に残せたことがうれしい。「ほら、ほら」と母に見せたことがあります。

この本のもう一つの魅力は、歴史家であったエルンスト ゴンブリッジ氏が人間の歴史の流れの中で一人の人間がどんなことを思って、その作品を作っていったのか、ということをぐいぐいと氏なりの解釈で書き進めているところ。西洋だけでなく。中東に関しても詳しいし、日本についての記述もあります。

1950年に最初に出版されたので、その後の研究によって、新たな事実がわかったこともあると考えられますが、
少なくとも彼の解釈の中では、話しがまとまっており、「なるほど。」という読みやすい流れになっています。

美術史を学ぶ時にタイトルや作家名や時代、絵の内容を解説しているものもありますが、それだけでは、何か物足りないのです。どんなに大昔の人の作品であっても人間として共感できる部分を追いかけていきたいと思うのです。それをこの本は、書いていこうとしています。

Slow Reader + 本を入眠の道具にしている私にしては珍しく、美術検定のために勉強しながら、ほとんどのページを一気に読みました。まだまだ、若輩者の私にとっては、ここに書かれている多くが、分かっていないと思います。

しかし、展覧会にいった後など、「ゴンブリッチ氏は、あの時代の作品を何と書いているのだろう?」と自分の感想と比較して読んでみたくなり、何度も部分的に読み返しています。


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2015年4月 4日 (土)

Beautiful Books : ばらの本

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最近は、円安で海外からのものが値上げされています。近所の本屋さんでも語学関連は別として、美術、園芸、インテリアに関する大型のビジュアル本がめっきり少なくなってしまいました。入手できるかはわかりませんが、集めた洋書でよかった本を紹介します。

まずは、小さな20㎝×20㎝ぐらいのハードカバー。イギリスのインテリア関連で素敵な写真いっぱいの本で有名なRYLAND PETERS & SMALLから2004年に出版されたAntonia Swinsonさんのroses

この中で好きな写真は、ひっそりとバラで覆われたBower、Gazebo、玄関まわり、壁面等の雰囲気がひっそりとして素敵な写真が巻頭を飾っているところ。派手でなく、品種がどうだ、こうだと言わず、大事に育ててきたバラがいっぱい咲いた喜びを撮影しているところ。

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「絵になる景色」 いいなぁ、

これをまねようとか、同じものをそろえようとか、そういうのではなく、このシーンを見て、ここに座れば・・・なんてイメージするのが楽しい。そういう楽しみをこの本の写真は、伝えてくれるので、何度めくってもいいのです。

実は、同じ出版社から出ているcomfortable CONYTRYという Enrica Stabile さんの本にこの右の写真は、載っています。巻末の撮影場所を見ると、ご本人の庭だということがわかります。

その本には、彼女の暮らしの対する考え方がしっかり書いてあります。
ガーデンのところでは、「戸外で食事をとるのは、子ども頃のピクニック気分や星空の下のディナーやランチの楽しみを家族や友達と味わうことが出来ます。田舎風の庭でなくても、ちょっとしたテラスに花を植えた植木鉢やそろってない椅子を置いたり、あせた布をテーブルにかけたりすれば、都会を忘れてそこは、楽しい雰囲気になります。」(私の解釈)というようなことを書いているのです。

この本を手にする前から、こんな風に小さなベランダでお茶を飲んだり、お昼を食べたりするのに開放感を感じる
かなりのいたすら好きな(茶目っ気?)人間だったので、家族を巻き込んでやっていましたが、これを読んで、そうそう、と言葉の壁を乗り越えて共感しました。

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rosesの話に戻りますが、バラのある景色以外にバラの歴史、香りについて、バラのモチーフのファブリックの小物、インテリアへの使われ方、バラの香りにおける効用、バラの飾り方、アレンジメントのカラーハーモニーのポイント、ポプリの作り方、テーブル デコレーション、ヴァレンタインのバラ、ウェディングのブーケについてなど。ばらにまつわることが網羅されています。

最近、ボッティチェリのプリマべーラに描かれているバラについて、自分でこれかな?と考えていったことをブログに書いたのですが、このrosesを今回、もう一度ざっと読むと、はっきり 'Maiden's blush' と書いてありました。

描かれたバラとして、ポンペイのフレスコ画、ルネッサンス期のバラに囲まれてた聖母子を描いたドイツのシュテファン ロッホナー、マルティン ショーンガイアー、サンドロ ボッティチェリ。
17世紀 オランダの画家 アンブロージウス ボスハールトの花のアレンジメントの絵。
18世紀のフランスのロココ期のフランソワ ブーシェ、ジャン オノレ フラゴナール
19世紀のファンタン ラトール
そして、ゴッホもバラをたくさん描いているなど、一気に書いてありました。これ以外にもルノワールなどもバラをよく描いていますね。日本だったら、安井曽太郎さんの薔薇が印象的。

ドイツやオランダの画家の名前は、なかなか聞き覚えがなく、名前を見ただけでは、絵のイメージが浮かんでこなかったのですが、それぞれ調べると、見たことのある絵でした。

特にアンブロージウス ボスハールトは、大学の美学の先生の専門分野だったのか、講義で大画面に映したものをじっと見ていたことを思い出しました。

昔から(紀元前より)このバラという花をどんなに愛してきたかということがわかる本となっています。


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2007年4月 9日 (月)

Beautiful Books 7:ヒナギク妖精の唄

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Bellis perennis キク科 ヒナギク
Pronunciation: BEL-liss Meaning: Pretty, handsome

English Daisy, Lawn Daisy, Bruisewort

昔、取り寄せていたアメリカのスミス&ホーケン Smith&Hawkenのカタログに Flowerling Lawn Mix としてこのイングリッシュデイジーの写真がありました。ヒナギクとして日本で知られていたものより、花が素朴な感じ。ちょうどアタリヤ農園から種が発売されており、2003秋に種まきしました。以来、こぼれダネで、毎春、近所で見れるようになりました。

この花のかわいい所を表現した妖精の唄がシセリー メアリー ベーカーの詩がありましたので、ご紹介いたします。

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     THE SONG of
    THE DAISY FAIRY

Come to me and play with me,
I'm the babies' flower;
Make a necklace gay with me,
Spend the whole long day with me,
Till the sunset hour.

I must say Good-night, you know,
Till tomorrow's playtime;
Close my petals tight, you know,
Shut the red and white, you know,
Sleeping till the daytime.


  ひな菊妖精の歌

私の所に来て、遊んで
私は赤ん坊の花です。
私と一緒に楽しくネックレスを作って
日が沈む頃まで
一日中私と過ごして


あなたも知っている通り、私は明日の遊ぶ時間まで
おやすみなさいを言わなくてはならないの
あなたも知っている通り、花びらを固く閉じて
あなたも知っている通り、赤と白の花びらを閉じて
昼間まで寝ているの


こんなかわいい妖精の唄と絵が描いてありました。
本当に花の様子を言い当てていて、シセリーさんは上手!

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2007年3月30日 (金)

Beautiful Books 6:スミレの妖精の唄

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Viola grypoceras  スミレ科 タチツボスミレ

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Viola riviniana
Common Dog Violet

"A DELUXE BOOK OF FLOWER FAIRIES" Cicely Mary Baker

THE SONG of
THE DOG-VIOLET FAIRY

The wren and robin hop around;
The Primrose-maids my neighbours be;
The sun has warmed the mossy ground;
Where Spring has come, I too am found:
The Cuckoo's call has wakened me!


      スミレの妖精の唄

ミソサザイとコマドリは跳ね回り
プリムローズの女の子たちは、私の隣に咲いてます。
太陽が苔のはえた地面を温め
春が来たところでは、私も見つけられますよ。
カッコーの呼び声が私を目覚めさせました!

transrated by WENDY

解釈

まずは、英文のDOG VIOLETについて

なんで、DOGなんてすみれについているのでしょう。

これは、香りのするスミレ 学名Viola odorata 英名 Sweet Violetに対して香りのないこのタイプに差をつけてDog Violetとしたそうです。犬の散歩の路傍でよくみかける、なんて意味でしょうか。

日本では、タチツボスミレ とニオイタチツボスミレ という言い方で差をとどめていますが。ずいぶん皮肉っぽい言い方をするのが、英国らしい感じですね。英国中、森林、ヒース、牧草地帯、石灰質の土壌の地域にも、日向から日陰まで生育しているということです。'青みがかった紫色の香りのないけれどかわいいスミレ’ということで親しまれていることがわかりました。

私の周りでもタチツボスミレは現在いたるところに咲いています。厳密には英国でDog Violetと呼ばれている種類とは違いますが、春先に咲く様子は同じようなもの解釈いたしました。


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2007年3月26日 (月)

Beautiful Books 5:ネコヤナギ妖精の唄:C.M.B 4

ネコヤナギって不思議な植物ですよね。小さな猫のシッポのようなねずみのような・・・。子どもの頃、どこで見つけたかはあまり記憶にないのですが、時々、手のひらの上にのせ、コロコロなでるように触っていたな。

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Salix gracilistyla
Willow catkin

銀色のふさふさしたものは 花穂[かすい]と言い、花が集まって穂のようになっているもの。黄色いのは、おしべが見えているところ。近所の川辺の散歩で、見かけたネコヤナギ。下の唄を読むと、その日私がネコヤナギの花を子どもに触らせようと一つちぎってしまったことを後悔。自分は、WENDYというニックネームをつけながら妖精を悲しませるようなことをしてはいけないと反省してしまった・・・。

I'm sorry.
'I believe in Fairies !'                Words from "Peter Pan" 

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"A DELUXE BOOK OF FLOWER FAIRIES" Cicely Mary Baker


THE SONG of THE WLLOW-CATKIN FAIRY

The people call me Palm, they do;
They call me Pussy-willow too.
And when I'm full in bloom, the bees
Come humming round my yellow trees.

The people trample round about
And spoil the little trees, and shout;
My shiny twigs are thin and brown:
The people pull and break them down.

To keep a Holy Feast, they say,
They take my pretty boughs away.
I should be glad- I should not mind -
If only people weren't unkind.

Oh, you may pick a piece, you may
(So dear and silky, soft and grey);
But if you're rough and greedy, why
You'll make the little fairies cry.

(This catkin is the flower of the Sallow Willow.)


ネコヤナギ妖精の歌

人々は私を 手のひら と手をさしながら呼びます。
彼らは、私を猫柳とも呼びます。
そして、私がいっぱいに花ひらくとき、
ハチはハミングしながら、私の黄色い木を一周します。

人々はぐるりと私のまわりを踏みつけて
小さい木を台無しにして、そして、叫ぶのです。
私の輝いている小枝は、か細くて茶色:
人々は、引っぱって、折ってしまう。

聖なる饗宴をするためにと彼らは言って、
私の見事な大枝を持ち去ります。
私はもし人々は不親切であるだけではないならば、
気にするべきでないとしてそれを喜ぶべきか

ああ、あなたは(とても愛らしくて、すべすべとして、柔らかくて灰色の)一つを選ぶかも、そうするかも
あなたが荒っぽく、欲張りなら、
あなたは、小さい妖精を泣かせることになるでしょう。

(この尾のような花は、ヤナギ属の低木の花です。)

Transrated by WENDY


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2007年3月23日 (金)

Beautiful Books 4:春の魔法:C.M.B 2

シセリー メリー ベイカーの本をめくっていると春の訪れの詠った詩がありました。

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     Spring Magic

The World is very old;
   But year by year
It groweth new again
   When buds appear.

The World is very old,
And sometimes sad;
But when the daisies come
The World is glad.

The World is very old;
But every Spring
It groweth young again,
And fairies sing


Written by Cicely Mary Baker

   春の魔法

世界はとても年をとっているの
けれど 毎年つぼみが見えるとき、
また新しく生まれ変わるの

世界はとても年をとってるの
時には悲しみも
けれど デイジーの花が咲くとき、
世界は喜びに満たされるの

世界はとても年をとってるの
けれど どの春にもまた若さを取り戻し、
妖精たちは唄うの

Translated by Wendy

挿絵には、スイセン、サクラ、キングサリ、ツルニチニチソウ、プリムラと春の妖精が描かれています。
花の色は、イエロー、ぺりウィンクル ブルー、桜色


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Vinca minor ツルニチニチソウ
Common Periwinkle

ペリウィンクル ブルーと色名にも使われるほど、美しいラベンダーブルー。パステル インディゴとも。

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2007年3月17日 (土)

Beautiful Books 3:水仙の妖精の詩

以前にも紹介した、シセリー メリー ベイカーの妖精の本にある水仙のところを紹介いたします。

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     THE SONG of
   THE DAFFODIL FAIRY

I'm everyone's darling:the blackbird and
  starling
Are shouting about me from blossoming
  boughs;
For I , the Lent Lily, the Daffy-down-dilly,
Have heard through the country the call to
  arouse.
The orchards are ringing with voices
  a-singing
The praise of my petticoat, praise of my
  gown;
The children are playing, and hark! they are
  saying
That Daffy-down-dilly is come up to town.


"A Deluxe Book Of Flower Fairies" Written by Cicely Mary Baker

  

  水仙の妖精の詩

私は皆に愛されているの

クロウタドリとムクドリ

花開く枝から私を大きな声で叫んでます

四旬節のユリ、スイセンと

国じゅうから私を目覚めさせる声を聞いたの

くだもの畑では歌声が一つ響いています

私のペチコートのほめ言葉、私のガウンのほめ言葉。

子どもたちが遊んでいるわ。そして聞いて!

スイセンが町まで来た、って言ってます。

訳 Wendy


Lent lily Lentはキリスト教の四旬節 今年で言えば、2月21日のAsh Wednesday から4月7日の Easter Eve までの日曜日を除く40日間をいうそうです。ですから、その頃咲く、Lily ユリのような花という意味でスイセンのことを形容したもの。学名は、Narsissus pseudonarcissus(soo-doh-nar-SIS-us)。絵のようなペチコートの上に花びらのオーバースカートがふんわりかぶっているような咲き方をします。

That Daffy-down-dilly is come up to town.
 Mother Goose's Nursery Rhymes 「マザーグース童謡集」)からの引用。この後に一文続いています。

  Daffy-down-Dilly is new come to town,
  With a yellow peticoat, and a green gown.

daffy は「ばかな」 dillyは「すばらしい」の意味。皮肉っぽいところがマザーグースの童謡らしい。スイセンの発音daffodil /dǽfədìl/とこのDaffy-down-dillyという造語をかけたているということ。


というわけで、スイセンは春を告げる花の代表格。Wales ウェールズの象徴の花でもあるそうです。

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2007年2月 3日 (土)

季節のGarden Work 29 :2月の仕事 

イギリスのガーデン雑誌 GARDEN ILLUSTRATED ガーデン イラストレイティッド 12月号の付録 2007 Calender カレンダーは、Howard Sooleyさんの写真が素敵です。

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Helleborus × hybrids

今月はクリスマス ロースです。少し逆光が入り、花びらが透けて見えます。

さて、このカレンダーには、2月の仕事 という欄が右手にあり、それぞれの月にやっておくことというのが載っています。

2月の仕事
● クロシェ(ガラス製ののベル型の覆い)やポリエチレン製の覆い使って、3月に早蒔きするための土を温めましょう。
● 今月は低木(shrubs)の移動に良い時期です。
● 果樹の植え付け
● 保管しておいた塊茎(tubers),球茎(corms),球根(bulbs)が腐っていないか確かめましょう。
● '緑の中’にスノードロップを植え、込み合った球根を分けましょう。
● 植物のまわりに厚くマルチングをします。ただしスイセン(Dwarf)はカバーしないように。
● ハナミズキ(dogwoods)と夏咲きのクレマティスの剪定。落葉性のグラス類の切り戻し。
● 鳥のために餌と水をやることを続けましょう。(1月にも)
● 樹木、低木の植え付けを今月中に終わらせましょう。

下線部は私の勝手な解釈 

1. クロシェは使用する部分の土の上に事前にかぶせ地温を温めておくのにも使うということ?
2. スノードロップの球根は仮にポットで芽だしさせておき、丁度良い場所(緑の草の中)に植え替えるということ?

こんな感じです。イギリスの雑誌なので、日本にそのままあてはめることは出来ない所や紹介されていないテクニックもあると思いますが、とにかく、こんな季節の花の写真を見ながら、あれこれ、多岐にわたる季節の園芸作業をコメントしてくれるのは、いいですね。

英語の勉強にもなるので、毎月、日本語訳に挑戦し、紹介していこうと思います。また、疑問に思ったテクニックなど、引き続き、調べていきたいなと思っています。


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2006年12月22日 (金)

Beautiful Books :クリスマスのものがたり フェリクス ホフマン

クリスマスが近づいて来ましたね。子ども達も冬休み。母としては、このホリデーシーズン、子ども達と何を一緒にしようかなと計画しているところ。子ども達からは、「ブッシュ ド ノエルを作ろうね。」という話が出ています。


Night Before Christmas クリスマスの前の晩、つまりクリスマス イヴに読む絵本として、私が一番好きな本を紹介いたします。

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The Natively Book by Felix Hoffmann

スイスの絵本作家 フェリックス ホフマンの「クリスマスのものがたり」です。

たくさんクリスマスの絵本が出ていますが、私が子どもの頃、クリスマスのお話を聞いた時にイメージされた世界が再現されているただ1冊の絵本であるからです。

クリスマスのお話は、子どもながらに、ヘロデ王が怖い存在であったので、そのことも含めて、絵本にしている点で、「この本!」と思いました。その場面を含めている絵本は他にはないのではと思います。
すでにホフマンのファンであったので、「さすが、ホフマンさん!」とうなっておりました。


ホフマンの絵本に出会ったのは、子どもの頃で、仲良くしてくれていた男の子のお母さんが時々読んでくださいました。「おおかみと七ひきのこやぎ」「ねむりひめ」印象はすごく強かったです。

子供向けの甘い絵ではなく、写実的なスケッチのような何度も重ねた輪郭線が、とてもひたむきな感じで、話の場面に読むものを引き込む力を持った絵本だと思います。


子どものころの私は、まんまと七ひきのこやぎの家の中にいるような気持ちになりましたし、おひめさまが出てくるお話では、自分がおひめさまのいる塔の中にいるような気分になっていました。

大きくなるにつれて、ホフマンの絵本は家になかったので、すっかり忘れていましたが、子どもが生まれて、本屋さんで、久しぶりにホフマンの絵本を広げた時、昔の記憶がよみがえってきました。「なつかしい。」
ためらわず、「おおかみと七ひきのこやぎ」は買いましたし、その後も、ホフマンの仕事を追いかけるように絵本を探したりしていました。

現在、子どもの枕元には「グリム童話」がおいてあり、時々、眠る前にお話をひとつづつ読んでいます。こちらは、絵本ではなく、時々挿絵がはいってくるのですが、赤ずきん、にせよ、ヘンゼルとグレーテルにせよ、森の暗さや、子どもの姿など、「これが本当のグリム童話」と思わせる宝物のような本です。
文庫でも出ていますが、ちょっと高いのですが、赤い布張りのハードカバーの方を持っています。

日本での出版社は福音館書店であり、小さな絵本美術館からもホフマンの作品についての解説と生み出された背景を紹介された本も出ていました。

ホフマンは美術教師であり、絵本については、4人の子ども達それぞれのために描いたもので、しばらくは、家族の中だけのものだったそうです。子どもの病気の時に描いたもの。実際の家をモチーフに描いたものなどあり、家族にとっては、とても愛情のつまったお父さんからのプレゼントだったようです。


これを知って、ホフマンの絵本が私の心にも残ったことの意味がやっと、わかりました。仕事としてではなく、真に子どものことを思って作った本だったのです。


最初にあげた「クリスマスのものがたり」は、ホフマンの最後の絵本となったもの。
1972年 日本、スイス、アメリカで同時出版されました。 1975年に亡くなりました。


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2006年12月12日 (火)

暮らしの中のMy Work 11:デンマークのクロスステッチ クリスマスツリー

デンマークのクロスステッチの図柄は素朴で、昔から好きです。布はすけるような麻布、糸は、自然な発色の花糸。

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      CHRISTMAS TREE    Design  イダ ウィンクレル

大きなクリスマスツリーの周りの子ども達の姿。初めて見たとき、子どもの頃の幼稚園でのクリスマスの思い出がよみがえりました。
細かくて刺繍するのに随分時間がかかりましが、今では必ず、クリスマスシーズンにこの額を飾っています。
昨日、おもしろいことに、息子の友達が遊びに来て帰り際に「あれっ、これ、うちにもある。クリスマスにはいつも飾る。」と言うのです。「えー!お母さんが刺繍したの?」「違う。」「デンマークの・・・。」というと、「アーおばあちゃんがデンマークの人だから。」との答え。

「めったにない。ない。」と私。数あるクリスマスを扱ったモチーフのクロスステッチのキットが世の中にあると思いますが、こんなに近い距離に住んでいる家庭で、また、昔おばあちゃんが作ったであろう我が家ものが時を越えて、その子のおうちに飾ってあるなんて!そうだ、我が家もこれを家宝にしてもろおう。実は額も私が作ったものであることだし。

子供同士も車大好き少年で、私にはわからない「わからんちん語」を話す間柄。
そういえば、クロスステッチの図案ってLEGOのっぽいところもありますよね。方眼に収められた図案。のびのびさにはかけるかもれませんが、その抑制された中での表現が、妙に落ち着きがある。華美ではないけれど、整然として心地よい、そんな良さがあります。そういえば、我が家はLEGOマニアの息子、私自身もLEGO大好き少女だった。デンマークの文化って随分、我が家にも浸透しているよう!

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この「メリークリスマス」という本は、日本で昔、文化出版局から、翻訳され、出版されていました。素晴らしい図案がいっぱい収められています。作ってみたい図案がまだまだいっぱい。いつか、また挑戦したいな。

2010/1/10 追記:私の作った図案は、写真にのっている本には、載っていません。ヤマナシ・ヘルムスロイドで扱っていたデンマーク手工芸ギルドのキットで、1993年あたりに入手。必要量の花糸、麻布、図案,刺繍針がパックされていました。プロダクト番号 30-4909 です。現在の取り扱いに関しては、下記にお問い合わせください。

ヤマナシ・ヘルムスロイド

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