Visiting a garden : 八窓庵 札幌
Hasso-an in Sapporo designed by Ensyu Kobori
札幌、中島公園の敷地内に日本庭園がありました。そして、案内板には、「小堀遠州(1579~1647)の茶室」と書いてあり見てきました 。
池を囲む森の中に溶け込むように茶室がありました。2棟ありましたが、小堀遠州の茶室「八窓庵」は、右側。左側は札幌に移築された後に増築された部分。
小堀遠州が居城の滋賀県の長浜の小堀城内に作ったものを移転させながら、大正8(1919)に個人によって札幌に移転。昭和4(1919)年に札幌市の所有になりました。国指定の重要文化財。
蹲踞
ここに移築されてから、露地も遠州好みに整備されました。
躙り口 Crawl-through
ここから、にじりながら入って行く場所。この上部の軒下に『忘筌(ぼうせん)』と書かれた扁額(看板)がかけられていました。この言葉は中国の荘子の言葉からきていて、遠州は、「茶道には様々な道具が必要だが、それに執着して本来の目的を忘れてはいけない。」という戒めとしてこの草案の名としたようです。
平面図
この茶室は、2畳台目といって、2畳と3/4畳の点前座という空間。千利休の妙技庵 待庵(1582年年)は、2畳隅炉といって、点前座の部分はないので、さらに狭いことになります。
外からのぞかせてもらうと中柱が見えました。枝が分かれた部分で片方を切り落とした赤松の幹です。
それから雲雀棚と呼ばれる釣り棚が見えました。
八窓庵の名前通り、開口部が多い造りです。突き当りの壁面に2窓。躙り口側の壁面も2窓。左の障子の部分は下地窓(土壁の芯になる竹組を見せたままにしてある)。覗いている窓は連子窓という窓で下部にさらにもう一つ下地窓があります。天井部分も突き上げ窓があるようで合計確かに8窓。「舞台効果を持たせている。」とパンフレットには書かれてあり、最初はイメージできませんでしたが、客側から点前座の亭主の姿を見ると、逆光の中にそのシルエットが浮かぶように見え、神々しく見えるのだろうと、想像するようになってきました。
本格的な茶室に座ってのお茶を頂いたことはありませんが、いつか、着物を着て日本庭園のお茶を修行の末、いただきたいかなと残りの人生を考えながら、無謀な夢を持ちだしました。
札幌ならではの苦労もあり、冬には、覆いをかぶせたり、上屋が雪で壊れ、八窓庵が全壊したこともあったようです。
400年の歳月を経て、こうして修復をしながら、現存させてきている茶室。これからも札幌の宝として維持していってほしいと思いました。
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