Visiting a place : 日本民藝館
日本民藝館 Apr.6.2021
日本民藝館が改修を終えたということを知り、早速出かけてきました。前日、銀座の無印良品で行われている『MINGEI 生活美のかたち』という展覧会(入場無料)を見せていただいた折、チラシがあり知った次第。
Left : Tokyo Midtown 21_21 DESIGN SIGHT 2018.11-2019.2
Right : Tokyo Atelier MUJI Ginza 2021.3-5.9
現在の日本民藝館の館長である深澤直人氏は、2018年にミッド タウンで行われた『民藝 Another Kind of Art』を日本民藝館の収蔵品を中心に企画されました。この時の展示は、陳列台に民藝の品が並べられているのですが、名札のようなものは、置いてありませんでした。そもそも、民藝の品々は、作者名はないのです。目録はありましたが、最初は、「えっ、どうして?」と違和感を感じました。しかし、だんだん慣れてきて、「一つひとつの形を楽しんで見ていけばいいんだ。」と思うようになりました。
確かに、子どもの時のように文字に頼らず、素朴に「何だろう?」という目でじっくり見ることが久しぶりに出来たような気がしました。
何か、ものを作る時のワクワクした気持ちや作っている時の集中した時間、出来た時の喜び、使う喜び、そういったものを一つひとつのものは感じさせてくれました。
また昔の人々の知恵や工夫と身の回りの自然の材料を上手く利用して作ったであろう品々を見ていくと、なんとひたむきに生活に役立つ品々を作ってきたことかとじわじわと心が洗われるほどに慈しみと感謝の気持ちがわいてきました。いい展覧会でした。
先日訪れた銀座の無印良品のアトリエ展示も深澤直人氏の企画キュレーションで、ミッドタウンの展示を思い出すものでした。
さてさて、今回の改修が行われた大展示室。1926年の創建時に近い空間にしたそうです。
床が大谷石。微妙に薄緑を帯びた灰色の凝灰岩。壁には、葛布を張り替えたとのことです。
柳宗悦も座ったであろうウィンザー チェアー。国産の洋家具として作られた初期のものでしょうか。座面の材の杢の出方が、使える材を無駄なく使った感じで、今のきれいすぎる仕上がりを求める風潮に私の心に一石を投じてくれたよう。「これでいいんだ!」と言ってくれているようだった。
館内では、日本民藝館のことや柳宗悦の思想を紹介した映像も流すようになり、民藝についてわかりやすくなっていました。
角皿 フランス 18世紀
さてさて撮影可能だった場所のテーブルの上に「これ、何に使うのでしょう?」という四角い皿が。見ていくと・・・、「緑色になるガラス釉がかけられた焼き物だ。粘土だから自由に形が出来るので、四角く作り、取っ手がついている。あの取っ手を自分が持つとなると、こうだから、」と角度を想像すると、オーブンに出し入れしやすい角度のように思いました。左側には、焼き汁が流せるようになっている。私が思うには、この上に肉の塊をローレルなどの香草と一緒に置いて、オーブン(窯)に入れ、じっくりと焼いたのでは?というRoast pan。
ロースト ビーフかロースト ポークがこんがり焼けた塊をイメージしてしまいました。
柳宗悦は、名札に関しては、最小限度の情報のみを黒漆の板の上に朱書きで書いたものを置く、ということを世界中の博物館、美術館を巡って決定したそうです。
これは、人間が作った形は、そのもの自体がすでにその意味を語っているということだと思いました。
昨日、一番印象に残ったものは、柳宗悦が原稿を書いていた時の机まわりのものが展示されていた中のべっ甲の眼鏡。
つやが美しく色も茶色の飴色というか本物のべっ甲の色。
形は丸形ですが、鼻づるが逆V字型になっていて、機能上なのか、おしゃれなのかわからないけれど、今の感覚からすると、ひねりがあるデザインで、「流石、柳宗悦の眼鏡だな。大事にしていたんだな。」と思って眺めました。
白内障を患った画家のモネの使った黄色いレンズの入った晩年の眼鏡を見た時もひどく感動しましたが、尊敬する人物の眼鏡に私はどうも、弱いらしい。
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