Visiting a garden : 明月院 Bright Moon Hermitage
Meigetsu-in Kamakura June.14.2019
あじさい寺として有名な明月院に行きました。アジサイの時期なので、平日早めと思い、朝の9時には到着。でも有名な山門までの階段の景色は人込みでした。淡い水色のアジサイに囲まれながら、いい写真もとれずに本堂に。予備知識もなく訪れたわけですが、本堂前は枯山水の庭が作られていました。臨済宗の禅寺の塔頭(僧の住む住居)として整備された今の建築、庭園。
古くは、この地に1160年に平治の乱で戦死した山内首藤俊通の供養のために子の経通が明月庵を作らせたのが始まりとされます。見渡せば鎌倉特有の砂岩質の山肌を掘り、やぐらも見えました。鎌倉では最大級の横穴式墳墓。国の史跡に指定されています。
その後、この地は北条家のものとなり、「最明寺(さいみょうじ)」が作られました。そして南宋から来た僧、蘭渓道隆(らんけい どうりゅう)により、「禅興寺(ぜんこうじ)」として開山。室町時代に1380年には、足利氏が上杉氏に伽藍を整備させ、寺域を拡大させたようです。開山は密室守厳禅師。
「明月院絵図」紙本淡彩(南北朝時代)国重要文化財 (拝観券図版より)
「明月庵」は塔頭として「明月院」として整備され、その頃の面影が今の姿に至っているようです。残されている絵を現在の様子と比べると、右下に今は存在しない塔があったことが分かります。
しかしその後、明治初年廃仏毀釈の流れの中で「禅興寺」自体は廃寺となったそうです。
そのような歴史を持つ明月院は、アジサイを戦後、杭のかわりに植えていったそうです。
Hydrangea Macrophylla subsp.serrata var.amoena
フワっと澄んだ水色のアジサイが道の両側にいっぱい大きく生長し、今は満開。別天地にいるような気持になりました。
寺では、剪定した枝を挿し木にして、このアジサイを育苗していました。挿し木をしてから開花する株になるまで、4,5年かかるそうです。
その作業を何十年も繰り返してきた業の末に、この別天地がここに生まれたのです。
帰ってからこのアジサイの品種を調べると、ホンアジサイと呼ばれるガクアジサイ系とエゾアジサイの交雑種ということが分かりました。
牧野富太郎が昭和の最初の頃、日本の植物を調査した時に、信越地方でこの交雑したアジサイを見つけ、「ヒメアジサイ」と命名したそうです。
そういえば、西洋アジサイを路地植えにして今、あちらこちらで色々な色のアジサイを見かけますが、それに比べ、「線が細い。」といった印象。それは、装飾花の厚みが薄く、一つの装飾花の直径も2㎝ぐらいとこぶりでした。
葉に関しても、つやのない薄手の葉です。
東国と鎌倉の幾たびにもわたる戦いがあった中で、植物は昔から交雑したものが生まれていたと思うと、意味深い感じがします。
また上杉氏は越後の国に移ったので、このヒメアジサイはそのあたりから持ってきた特に美しい品種のアジサイなのかもしれません。これは、私の想像ですが。
以前、明月院を訪れた人の感想を聞いた時、「あそこのアジサイは他とは違うのよね。」と言っていたことを思い出します。
Iris ensata var.ensata
本堂後ろには、庭園があり、ここも公開になっていました。花しょうぶが満開のまたまた別天地。
なかなか、満開の菖蒲園に行けることは今までも少なく、ラッキー。
Acer palmatum
秋になると紅葉するモミジ。今は新緑が美しい。脇の山から水が流れてきており、紅葉にはうれしい環境。
苔の生えている場所の緑陰も美しい。
思い切って、出かけ、満足。ここから、歩いて若宮大路で蕎麦をいただき、鬼頭天薫堂でお香を求め、寿福寺、和田塚に手を合わせ、江ノ電へ。15000歩の1day tripでした。
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