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2017年12月13日 (水)

About An Artist : Ryuichi Sakamoto "IS YOUR TIME"

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 12月9日(土)から新宿 オペラシティーのNTT インターコミュニケーション センター(ICC)で始った坂本龍一氏と高谷史朗氏による『設置音楽 2』を初日、聴きに行った。この日は、午後3時からトークショウもあるということで、朝早く出かけ、整理券をもらって、お話も聞きました。

会場は、昔、ICCが始まったころに、Media Artsなるものは、なんぞやとよちよちの子どもを連れて行ったことがあった。開館20周年ということで、息子も今や23歳。ひと昔経ったともいえる。

今回、お話を聞く前に作品を鑑賞させてもらった。坂本氏の音楽がICCならではの体験型アートになっていた。

トークの中で、具体的な説明を聞けたので、印象に残ったことをトークからの説明も加えて書き残したいと思う。

設置された空間は、高校の文化祭のような、暗室へと続いていた。縦長の空間(トークで25mという話が出たが、縦の長さか、横の幅なのか分からないが)の両脇にスピーカー14台の上にディスプレーが積まれ、並んでいた。いろいろな音が流れ、倍音が響いたり、鳥の声が聞こえたり・・・・オルガンの音が聴こえ、教会に行ったような感じだ。今年、出されたアルバム『async』の中で聴いたような音が聴こえ、突き当りには、ライトに照らされたグランドピアノの鍵盤がこちらを向いていた。

いきなり、祭壇のようなピアノに近づくのには、ずかずかし過ぎる気持ちだったので、ちょうど真ん中あたりに立ち止まって、暗闇に自分をならしながら、音楽を耳を傾けた。

グラス ハープのような音が重なり、倍音が生まれる心地良さに身をゆだねながら、様々な音の流れに耳を傾ける。ディスプレーの光は、目をつむると、太陽の光のようにも感じるほどの強弱もあり、音と同期して光を放っていた。

会場の床に座り込み、腰を据えて聞くことにした。すると、時々、ピアノがポーンと音を奏でる。調子が明らかにくるっている。けれど、スピーカーからの音は、すべて録音されたものなので、ピアノ自身から発せられる音は唯一、「生きている音」として、耳に響いた。つかみどころのない音の波の中で、確実な音を響かせ、心の拠り所のような存在感を持っていた。

誰もいないので、坂本氏が事前に弾いたものを自動演奏させているのかな、と思っていたら、トークで聞くと、違った。

そのピアノの音は、最近1カ月の世界で起きた地震を感知したものを圧縮したもので、地震が起きると、ピアノの上に設置された金属製の棒が下降し、鍵盤を鳴らすという仕組みをYAMAHAに協力してもらって、作ったということだった。

つまり、人為的に音楽に合わせて、ピアノの音を鳴らすというのではなく、地震の発生のタイミングを音に変えているという設定となっていた。

ひとしきり,聴いてやっとピアノに近づいた。震災で水に使ったというピアノだった。中を見ると、泥がついたままで、ピアノ線がピンピン切れていた。鍵盤を鳴らす仕組みもじっと見ていた。自動演奏の装置なんかではなく、鍵盤の上に櫓のようなもの作り、そこに鍵盤をたたく棒がたくさんつけられていた。

再び、オルガンの音が聴こえたので、一巡したな、と思い、会場を出た。一時間ちょっとぐらいであった。

聴いている間、バリエーションがいろいろあったので、聞き続けたいと思って、座り続けていた。普段の美術館のインスタレーションならば、こんなに長くは滞在しないだろう。映像や音を使った作品も今、いろいろあるが、一時間もその場を離れない作品は、たぶん、今までになかった。

音の速さのこと等、技術的な工夫について、トークで語られていたが、素地がほとんどないので、???と思いながら、聞いていたが、あの空間に合ったセッティングを調整し、設置したということだった。

また、トークでも語られていたが、やはり、教会をイメージしたというような設定だそうだ。両脇のスピーカーの列は側廊の列柱のようにも設定したようだ。

ピアノに関しては、映画『CODA』でも語られていた言葉、「津波という自然現象にさらされ、人が作ったものの多くが、自然の姿に帰っていった。ピアノも自然が調律したのだ・・・。」という坂本氏のとらえ方が印象に残った。現実に被害の状況を目の当たりにして、このアンバランスにも思える状況を別の見方からとらえていた。

あのピアノを二度と鳴らないピアノではなく、もう一度、音を奏でるようにしたのだ。私たちがその音を聞くことは、震災のことを思い出し、亡くなった方への祈りの気持ちにつながっていく。


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