Natural Beauty : Full moon on Miyajima
Full Moon Aug.7.2016
満月になると、宮島を背景に月の光の帯が海面に表れる。宮島は、民家も少なく、遅くまで営業している店も宿ぐらいしかないので、島は、夜になると、真っ暗な大きなシルエットのみ見せて、静かに眠りについたように見える。
満月の頃は、海水面が上昇する大潮の時期。それに合わせて、宮島では旧暦の6月17日頃、厳島神社の管弦祭が行われてきた。今年はちょうど帰省中の8月8日に行われたので、皆で行ってみた。雅楽を奏でながら御神体をお神輿にのせて、管弦船で運び、年に一度、周辺の神社を回るお祭り。時々、神様も気分転換に外に出て、お散歩していただく感じでしょうか。
いつから?と調べると、平清盛が厳島神社を今の形に造営したのが、1168年。とすると、およそ850年ぐらい前から行われてきたと思われる。詳しいスケジュールは、宮島観光協会のホーム ページで発表されていたので、確認しておくといい。
早めに宮島に着くと、スーと目の前を一艘の船が鳥居の沖に滑るように入ってきた。まるで、北斎の『神奈川沖浪裏』の波間に揺れる船のよう。この船で管弦船を引っ張っていく。
14:40~ Miyajima Aug.8.2017
左の船は、三隻の船を横につないだ管弦船。ここにお神輿がのる。この時間の潮位だと、船は、これ以上神社には、近づけない。この日は、夜の11時ごろ満潮。船が一回りしてから、帰ってくる頃には、鳥居をくぐり、神社にも近づくことができるようになる。
神社では、回廊に提灯や紅白の垂れ幕が掛けられ、準備が整っていた。
15:00~ Main Shrine of Itsukushima Shrine
本殿では発輦祭(はつれんさい)が始まる。出発の儀式。管弦祭の名の通り、雅楽の演奏が始まり、観光客も本殿にぐっと集まった。手前から竜笛、篳篥(ひちりき)、笙(しょう)、そして太鼓。雅楽は、日本に5~7世紀にかけてアジア各地から伝来したという。生の演奏を聴くことが出来て、気分は平安時代。娘曰く、「『越天楽』が演奏されていた。」そうだ。
16:00~
その後、お神輿が高舞台に出てきた。周りを方位を司る四神を表した幟で囲み、出発。
管弦船に向けて、移動。私達もその後をついていった。高舞台から真っ直ぐ鳥居につづく道に降りさせていただいたのは、初めて。
船の準備が整い、儀式を行い、管弦船が前の漕ぎ手の乗る船に引かれて、動き出した。この後、対岸の地御前神社に向かう。対岸から船と並行して犬の散歩がてら、追いかけたことがあったが、太鼓の音や掛け声、そして華やかな飾りの管弦船の一団は、マラソンランナーを応援するようだった。
私達は、しばし、宮島のお湯につからせてもらい、宮島桟橋の東側に位置する長浜神社に管弦船が着くのを待つことにした。ここでは、提灯をいただき、それを灯して、管弦船をお迎えする。
浜辺に立つ鳥居の両側にいっぱい提灯の明かりが迎える中、船が対岸から戻ってきた。笛や太鼓、漕ぎ方の声とぎーという櫓の音をならしながら。
神事が行われ、かがり火に焚き木を追加して、灯りを補充。この場所を三周回って、厳島神社の西側の清盛神社に向けて船団は再び漕ぎ出した。すごい。
私達は、並行して提灯行列をして移動。島の街灯の少ない、宮島を提灯の明かりで移動するのは、風情があった。
ここで、私達は帰宅していったが、フェリーの中からも管弦船団が暗い海の中で一生懸命に人の力で動いているのが、見えた。フェリーは、すべて終わるまで見れるよう臨時便を運航させている。また、いつか。
最後には、船は厳島神社に戻り、回廊に囲まれた部分で管弦船を3回廻す大変な山場を終えて、還御されるという。以前、テレビで見たが、漕ぎ手の息を合わせないとうまく回転せず、神社にもあててしまう危険もあるので、漕ぎ手の人たちは、この祭りに合わせて練習をして臨んでいるそうだ。
管弦を奏でる人、船を漕ぐ人、采を振る人も皆、力いっぱい。
人間のエネルギーを感じた。
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