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2016年5月 2日 (月)

About An Artist : 若冲好み

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Paeonia suffruticosa    at Ueno Toshogu Peony Garden      Apr.30.2016

お休みなので、朝から上野の東京都美術館で行われている『若冲展』に行ってきました。お天気も良かったので、私たちと同じく気合を入れてきた方が多く、長蛇の列。一時間以上並んで、入館。丁寧に彩色された若冲の作品群が並んでいました。ここ10年ぐらい前からでしょうか(正しくは2000年に京都国立博物館での『特別展覧会 没後200年 若冲』以来、東日本大震災後のプライス コレクションの公開などTVや出版物で盛んに紹介され、それを通して知っているかのように思っていましたが、本物は、見ていなかった・・・。今回の展覧会で私もやっと、若冲自らの筆跡をゆっくり味わうことができました。

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村上隆さんが紹介されていた辻惟雄先生の『奇想の系譜』は、数年前、文庫本になっているものを入手し、読んでおりました。この1970年に出版された本での紹介も若冲について詳しく書かれており、やはりおすすめの本です。

P7160997_2Lilium 'Passion' オリエンタリス系 カノコユリより作られた系統
若冲は、カノコユリLilium speciosumを描いている。

私が育ててきた植物で若冲の描いたものと似ている植物の写真を集めてみました。

植物が好きな私が本物を見て気づいたことは、描かれた植物の品種が江戸時代でもいろいろあったのだな、ということ。特に『動植綵絵』は、斑入りの花を多く描いていました。また、一重、八重の存在する梅も八重の梅というスタンダードではない方を描いていたりして、珍種を好んで描いた趣味が伺えます。光琳の梅と言えば一重の紅、白となるところを、若冲は八重の淡いピンクの梅を取り入れたりしていた。かなりの植物通。

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Ipomoea purpurea セイヨウアサガオ 斑入り 丸葉  
若冲の描いた青の斑入りのアサガオはIpomoea nil二ホンアサガオ 葉の形が三裂 江戸時代にアサガオの突然変異種のブームがあったらしい。

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Hibiscus syriacus 八重のムクゲ 赤い斑入り 
若冲は同じアオイ科の斑入りの芙蓉(フヨウ)を描いていましたが、それも白に赤い絞り模様。

絵画のモチーフとして、スタンダードなものを入れた時と、そんでない時の差は何だろうか?視覚的には、スタンダートなものが分かりやすい色、形であり、一目でそれとわかる。=人間、何が描いてあるかとわかるとそれ以上は見ない。反対に一見、それとは思えない色、斑入りや花びらの枚数の多い珍種が描かれていると、見る人は「あれっ、これは?」と思い、背景に描かれた植物もじっと見ていく効果をもたらしているような気がしました。

本人は、本当に珍種の妙が好きで、どうせ描くならと描いたのがそもそもの動機だと思いますが、それらを描くために若冲自身も植物の手入れをしたあるいは、開花時期を熟知して、そこに写生に出かける等、園芸家のような行動(私の行動とも同じ)もかなりあったのではと思わずにはいられません。

バラもあり、一重のものは、ナニワイバラのよう。これは、牧野富太郎氏が1704年から1711年に中国から輸入されたものが、大阪で紹介されたのでナニワイバラという名前になった、と記されているようで若冲も、いろいろなものが集まってくる京都にいたので園芸文化のトレンドもキャッチしながら画題に取り入れていったことがわかります。

描かれた植物は、今でも同じようなものが市場にあり、栽培できますが、どれもセイヨウ・・・とかいう交雑種になって、日本に里帰りした植物となっています。日本の植物が若冲以降、18世紀以降、西洋に紹介され、品種改良の元になっていったわけです。鎖国状態下の日本で愛されていた時の植物の姿を留めているとも言えます。

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アオスジアゲハ                                    

これは、やっと写真に収めたアオスジアゲハです。花壇の手入れをしていた時に撮影したもの。若冲もアオスジアゲハがシャクヤクの花にとまろうとしているところを絵に描いていました。ちょうど、展覧会の帰りに寛永寺の牡丹園で若冲の絵とそっくりのリアル体験をしましたが、本当に「あれっ!」と思うほどの瞬間の出来事でした。

写真に収めるのもやっとの一瞬の昆虫の動き(鳥、小動物も含めて)や風になびく植物の姿をとらえて書き留めた若冲の観察眼と執念はすごいものだと改めて感じています。

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そんな若冲の自然を追い求める姿が伺えて、今回の若冲展は、私にとって若冲のイメージをより深めてくれるものとなりました。

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