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2015年10月16日 (金)

About An Artist : Monet

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瀬戸内海                             Aug.10.2015

東京都美術館で開催されているマルモッタン美術館所蔵『モネ展』に行ってきました。『印象、日の出』が10月18日までの特別出展ということで、「帰ってしまう前にやはり見ておこう!」と、朝一番に行きました。本物を見たのは、初めて。

本当にきれいでした。朝もやの中にオレンジ色の光が昇ってくる静かな時間の一瞬がそこには封じ込められていました。

写真は、娘が母の家の2階から見える瀬戸内海の日の出を撮ったもの。絵を見て、この時のことを思い出しました。眠いけれど、母と娘と私で静かな日の出の時間、3人でバルコニーに手すりにつかまりながらじっと見ていました。鳥が朝の挨拶をチチ チチッと鳴く声だけが聞こえていました。

間近に、近寄って見るための列に並び、しばし、向き合った。モネのササッと描いたタッチの交差し、きらめくのを見た時、確かにモネの肉筆であるという親近感を覚えた。

モネの『印象、日の出』は、時を越え、場所を越え、私にもちゃんと日の出の頃の空気や音や色の印象を呼び覚ましてくれました。

「そこが、この絵の魅力なのだ。」と本物を見てすこーんとわかった。「それぞれの心にある日の出の印象を呼び起こす作品なのだ。」と。

モネは、写真家のようでもある。空気中の水分の量で変わる光景の一瞬の美しさをモネというフィルターを使って
キャンバスに油絵具を使って、とどめようとした。現代の描画材料に比べ、乾きにくい油絵具、迷ったらもういいと思った光景は、変化しているはずだ。それに挑み続けたモネの制作姿勢は、そう簡単に真似のできるものではない。

作品の中で最もリラックスして絵の前で幸せな気分になったのが、作品No.69の『睡蓮』。白い睡蓮が美しい深い青紫色の池に浮かんで咲いていた。水面を描くタッチと睡蓮の花、葉が水平を感じさせるのに対して、オリーブ グリーンの柳の葉陰が垂直に水面に垂れている。その縦と横の交差と色の対比が絶妙。考えてみると垂直に描ける植物は柳しかない。柳の魅力は、そこだと改めて感じた。

200×190㎝の大型画面から発せられるモネの睡蓮の世界に久しぶりにどっぷりと浸ることが出来ました。オランジェリー美術館のモネの大壁画に囲まれた時の感動をちょっぴり思い出した。

今回の展覧会の多くはジヴェルニーの家にあった作品を息子さんがマルモッタン美術館に寄贈したもので、人目に触れるとはモネ自身も思っていなかっただろうな、と思う作品もあったような気がする。

モネの眼鏡とパイプ、パレットも展示されており、とりわけ眼鏡に関しては、白内障の手術後にそれぞれの目の状態に合わせて、レンズを入れてあった。苦労してもなお、筆を置くことはなかったモネの「絵が描きたい。」という願いを伝えるものだった。

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積丹半島                                   Jan.5.2007

モネのゆかりの深い場所を静かにいつか、訪れてみたい。ノルマンディー地方のエトルタを描いた作品群は、積丹ブルーと呼ばれる美しい海の色とベージュ色の崖が美しい北海道の積丹半島の景色にも似ているし、モネの絵は、日本人である私にも、なじみのあるモチーフが多い。

父が持っていて、生前に譲ってもらった本 『パリからの小さな旅』 稲葉宏璽著には、エトルタについての文章があり、そこにモネのことが書いてあります。

『…何度もここを訪れたモネは80点以上を制作。秋になって静けさを取り戻した海岸で制作を続けていたモネの、1885年の手紙には、「エトルタにはネコの子一匹いない。ただ、モーパッサンを除いては。昨日彼を見かけた……。そして翌年、モーパッサンは「モネは対象を前に、待ち、陽光と影を見つめ、落ちていく光や通過する雲を何筆かでとらえ、……素早くキャンバスの上に置いていった。私は、彼がこうやって白い断崖の上のきらめく光が落ちていくさまをつかみ取り、この目の眩む把えようのない光の効果を、奇妙な驚くべき黄色のトーンに定着していくのを見た……。
 日の出前から夜まで、時とともに移り変わるここの風景は、まさに印象派的なのです。』

この文章を読むと、その時のことが、目に浮かぶようです。

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