The Roses : ヴィーナスのバラ
ホタテ貝の貝殻を前日行ったボッティチェリの展覧会で買ったフィレンツェのRossi社製の木版の紙の上に置いてみました。キクのような植物がモチーフ。金色一色刷り。中東の影響を感じる図案。唐紙にも似ています。
ヴィーナスが貝の上に現れてきそうでしょう。同じ視点で写真を撮ってみました。
さて、今日は、ボッティチェリの絵の《ヴィーナス誕生》に描かれたバラについて。
左側に西風のゼフィロスが花の女神フローラを抱えて海の泡から生まれたヴィーナスを浜辺に吹き上げようとしています。フローラが撒いたのでしょうか、バラの花が舞っています。
《春》に描かれているフローラの抱えていたバラは、雄しべが見えなかったのですが、こちらの絵では、雄しべがしっかり見えており、花びらの枚数もセミ ダブル。横から見たときに、かなり平べったい咲き方をするタイプ。絵の具の色が変色あるいは、印刷物の色の違いもあるでしょうが、少しピンクがかって見えます。オリジナルは?白から淡いピンク。
そうなると、・・・これは、といいたいところですが、以前買っていた大場秀章先生の『植物学のたのしみ』にこのことについて記述がありましたので、引用させていただきます。
ローザ アルバ ・・・『いつ頃からこのバラが知られたのか、例によって定かではないが、少なくとも2000年前の古代ローマに栽培されていた白バラというのは、本種であったと考えられる。
中世には相当広く栽培されていたようで、とくに半八重咲きのセミプレナという園芸品種は中世のいろいろな絵画に描かれている。バラはヴィーナスが海から誕生した時、いちばん先に咲いた花だという伝説を著したボティチェリの《ヴィーナス誕生》は、この作品が描かれた時代の人々がバラに寄せる心理を伝えるものである。そこに描かれたバラこそは本種に他ならない。…花は、強い芳香をもち、乳白色で、園芸品種ではときに淡いピンク色を帯びることがある。』
Rosa 'Semi-Plena'(Alba Semi-Plena', R.alba'Suaveolens, R.alba'Nivea')
Origin Europe First noted Pre-15th century From Peter Beales 'A Passion for Roses'
以前より アルバ セミ プレナは、色やシンプルな作りの花弁、雄しべたっぷりの黄色の部分がアクセントのバラで、際立っているなと思いました。
おまけに秋に赤い実がたくさんなることは、有名でその写真を見ては、ますますいいなぁと頭でチェックしていた品種でした。シュートが長く伸び、かなり生育旺盛な樹形。
星の数ほど、バラはありますが、さすがに、ヴィーナスの力。外見も性質もパワーが強い。大きなお庭があったら、植えてみたいなぁ。
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