Beautiful Things : テマヒマ展 at 21_21 DESIGN SIGHT
Cercidiphyllum japonicum
昨日、日経の文化欄で見た見出し「東北の素朴な暮らしに光 『テマヒマ展』を見て、「うわっ、行きたい!」と思い、今日、雨が降る一日でしたが、行ってきました。
会場に入る前、周辺の緑が雨に濡れてきれいでした。写真は、カツラ。やっと今年の葉が開いたところでしょう。株立ちになっている姿が立派な木。
向こうが安藤 忠雄氏による設計による展示会場 21_21 DESIGN SIGHT
地下の展示室に下りると今回のディレクターの佐藤 卓さんのあいさつの文章、良かった。メモでもとればよかったのですが・・・、
パンフレットから引用させていただくと、
『食べるものや日常使う道具というものは、もともと売るためではなく自分たちの生活のためにあった。そこに日本のアノニマスな素晴らしいもの達が潜んでいる。近代の合理主義で徐々に破壊されつつも東北に今なお残る食と住に、今一度注目してみたいと思う。』
あいさつには、「合理主義」の所を「便利さを追求(だったかな?)」といった言葉があり、「その便利さから生まれるウィルス(?腐敗?)が蔓延してしまった現代」と形容していらっしゃったと記憶します。
誰でも同じモノを手に入れることばかりに夢中になっている私たちの暮らし、これでいいのか?
会場では、今回展示されている物を作っている人々の映像を見てから、展示を見るといった流れ。
映像は、手の皮が擦り切れるほど使い一つひとつの物を作っていこうとする人々の姿でした。ざるを編むおじいさんの顔は、岩手の花巻市出身の父にも似て、涙がじわっと出てきました。でもみんな、完成すると嬉しそう。
父曰く、「東北は貧しかった。」と。それを聞くと、切ない気持ちのあと、身の引き締まる思いになります。
3.11の後も、「やっと大きな工場も東北に誘致されてきて、若い人にも仕事口が広がり、これから、という時・・・」と嘆いていました。
北国の厳しい自然環境とそれに伴う、農作物の収量の変化など人間がどうすることもできない大きな力の中に自分たちが暮らしているという意識がずっと東北では続いていたと思います。
角館のきつね (イタヤカエデ)
でもその中で「出来ることをしよう。」という意識も強く、冬の間や農作業の合間に作られていった各地の材を利用した今回展示されていたような物は、生活の中に溶け込み、受け継がれてきていったと思いました。
父がよくデパートで「東北の物産展」なるものがあるとよく一緒に行ったことを思い出しました。職人さんと話をする父は、みんな知り合いのようで、とても楽しそうでした。父もリフレッシュしていました。
私が美術に進むことにしたのも、そういった場所で職人さんが素材と格闘しながら、心を込め、ものを作っているひたむきな姿に人としての真を感じたからだと思います。
他人であっても、作られた物を通じて、人の良心を感じることのできるもの作り。
そういった物は、使う方も大事に使います。
これが、もの作りの原点だと再確認した展覧会でした。
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