About An Artist : 黒田 辰秋 :「生活と芸術 - アーツ&クラフツ展」 3
さて、今日は、木工芸の黒田 辰秋さんの椅子のこと。
黒田辰秋氏の作品との出会いは、京都大学の近くにある進々堂に行った時、偶然、腰掛けさせてもらったことが最初です。黒飴色になった漆塗りの大きなテーブルと大きなベンチ。相席になっても向かいあった人との距離が気にならないサイズだったように思います。そう簡単には動かせないようなどっしりとしたもの。
また、テーブルの脚に特徴があったと思いますが、記憶が定かではありません。けれど側面に透かしで果実?の模様が繰り抜かれ、その縁は彫刻が施され貫、くさびなどで材を組んだものだったように思います。(他でみたものだったかな~?)
とにかく、この椅子とテーブルは、日本の木工の技術を使いながら、洋家具のテーブルとベンチを自信を持ってがっちりと作ったという感じがしました。作家は誰のなのか、ということは、まったくわからなかったけれど、「すごいものに座らせてもらった。」という強い印象が今でも残っています。
これが、民藝運動の中で木工の作品を多く作り、人間国宝にも選ばれた黒田辰秋の仕事であったことは、ずいぶん後に知りました。本物だったのです。
木工は、長い間かけて立派に育った木を、どんなものに作り変えていくかを考え、素材に合った加工をして、作品を作る。それからずっと長い間、生活をともにする。人間が大昔からしてきたモノ作りのプロセス。私も木を触れながら、無心に制作するクラフト、木版画、木彫、家具作り、大好きです。
今回の展覧会では、黒田の作品も多く展示されていました。あの時、座っていなかったら、展示されている作品は群は、まったく別世界のものと映ったでしょう。しかし、黒田さんの作品に対しては、良さがわかっていたので、「こんなもの作ったんだ~」と覗き込んで見てきました。
展覧会を見終わった後、思ったことは、「早く、おうちに帰ろう!」です。
そう、この展覧会は、人の生活道具の集まりともいえます。たくさんの道具を離れて見るだけでは、最後は落ち着かなくなりました。
学生時代、何度も繰り返し読んだ 柳 宗悦の本は、行方不明で、どれだったかわからなくなってしまいました。自分にとってのキーワードを再び探してみようと思い、文庫を一冊買って会場を出ました。
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