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2009年1月27日 (火)

About An Artist : モリスについて:「生活と芸術 - アーツ&クラフツ展」1 

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昨年より楽しみにしていた 「生活と芸術 -アーツ&クラフツ展」東京展 初日に行ってきました。一夜明けて、自分の家のカーテンを開けながら、会場入ってすぐのパネルに書かれた『役にたたないもの、美しいと思わないものを家においてはならない。』というウィリアム モリス(1834~1896)言葉が朝陽とともにきらっとよぎりました。

これは、ものがあふれている今の私たちの生活でもじわっと染み入る言葉です。家の中を落ち着いて片付けをすると、いらないものを溜め込んでいることにため息。最後に残るのは、『役に立つもの、美しいもの』です。そして、気になっていた片付けが終わると、心の中はすっきり。

今回の展覧会は、産業革命の末、そんなジャンクなものが大量に出回ったイギリスにおいて、「こんな質の悪いものばかり出回っていいのだろうか。こんなものに囲まれていては、人の心まですさんでしまう。(私的解釈)」と考え、生活の中で役に立ち、美しいものを作ろうと活動した人です。モリスは単なるクラフトマンではなく最終的には、生活を取り囲む環境や社会の仕組みまでも、あるべき美しい形にデザインしようとした人です。

1883年の講演の言葉 「芸術の目的」より

『芸術の真の様相とはどんなものか。率直に考えて見よう。まず、お願いしたいことは、芸術という言葉を広義に解釈していただきたい。絵画や彫刻、建築物といったいわゆる芸術作品に限定せず、生活に用いるさまざまな品の形や色、いやそればかりか村とか牧場の中での耕作地の配置、あらゆる町並みや道路の運営でさえも含めることを。つまり、生活をとりまくすべてのものに芸術という言葉を広げていただきたい。生活を取り囲む環境が、美しいか醜いか、私たちを高めるか卑しめるか、作り手を苦しめ重荷になっているか、それとも楽しませ心を癒しているかで判断されなくてはならない。このところ、私たちをとりまく環境はどうなっているのか。何千年にもわたる争いや無頓着や私欲の荒波をかいくぐり、なおも美しい状態で先祖が引き渡してくれたこの世界を、私たちはいじり回している。いざ子孫に譲りわたすだんになって、いったいどんな申し開きができるというのか。』


1884年の講演の言葉 「芸術と社会主義」より

『誰もが、する価値があり、それをすることが喜びであるような労働をすべきである、ということは正当で必要なことだ。』

参考文献:『図録 ウィリアム モリス ヴィクトリア朝を越えた巨人』 ダーリング ブルース、ダーリング常田益代 著 河出書房新社刊 ふくろうの本

モリスの警告したことは、現代にも響いてくる言葉です。紹介した本のタイトル 「ヴィクトリア朝を越えた巨人」は、このようなことからつけられたのでしょう。

私のやっていることは、モリスの千分の一ぐらいしかないが、私を取り囲む空間が少しでも美しくなれば、と思って手を動かしていることはモリスと似ていると思いました。人の心の通っていないモノや空間は、こちらまで、無感動で悲しくなります。例えば、見放された場所に花が咲くと、人の心も変わってきます。それは表面からは見えないようだけれど、その花を植えた人には、他の人の変化がわかってきます。私は、そんな出会いの喜びがうれしくて、活動しています。

モリスは、もっともっとそんな人の心を動かす仕事をして、それを生きがいにますます仕事をしたのでしょう。人の10倍は仕事をしたと言われています。

彼のめざしたユートピアは実現しなかったけれど、彼の作品に備わっている「美」は、今もなお、私たちの生活を心地よく変え、豊かな気持ちにさせてくれていることは事実であり、魔法のような技だと思います。


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